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電源にやさしい回路とは超入門! イチから覚える電源回路(5)(1/2 ページ)

今回は、バッテリ充電器とLEDの調光コントローラの概要を解説します。

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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



 前回まで、交流電源から簡単な回路で電圧がフラットな直流電源を作り出す方法はないものかと、ダイオードブリッジとキャパシタ、インダクタの組み合わせで電圧がフラットな直流を作り出す方法を紹介してきました。それにより、電源に流す電流のピーク値が大き過ぎることで電源に優しくなく高調波規制に抵触することや、インダクタが大型重量物になってしまい、商用周波数のような低周波では小型化、低価格にはできそうにもないことが分かりました。

 やはり、ダイオードブリッジと高周波スイッチング回路で、高い周波数領域での目的を満たす機能を作り上げることになるようです。定電流を要求する負荷であれば、交流入力に矩形波状の電流を流すことになり、特別フラットな電圧を用意する必要はありません。

 まずは、ダイオードブリッジ出力の脈動電圧から一定の電流を作り出すことから始めましょう。この記事では、バッテリ充電器とLEDの調光コントローラの概要を説明します。定電流素子を使えば簡単ですが、省エネの観点から外しましょう。なお、ダイオードブリッジと高周波スイッチング回路の組み合わせでフラットな電圧を作り出すのは少しお待ちください。

バッテリ充電器

 バッテリは充電する電流をきちんと管理すること、電圧を決められた値以上には決して超えないように管理することなどが求められますので、定電流制御のスイッチング回路で構成します。この基本部分は図1aに示すような非常に簡単な回路で、ダイオードブリッジの出力には大容量の電解キャパシタは必要ありません。交流入力から取り出す電流は図1bに示すように略矩形波となり、高調波が少なく、力率も良好になります。

図1a 充電器回路基本部
図1a 充電器回路基本部
図1b 交流入力電流概要
図1b 交流入力電流概要

 このコンバータはいわゆるフライバック型と呼ばれており、FETなどがスイッチONしたときに変圧器の励磁電流を増加させ、スイッチがOFFしたときに負荷へ電流を送り出す仕組みで入力電圧を昇圧するものとして多用されています。この場合、バッテリに一定の電流を押し込むために使われています。変圧器磁束のリセット電圧は負荷、つまりバッテリの電圧であり、安定した電圧も期待できます。FETなどのON/OFF比をうまく設定すると広い入力電圧に対応でき、スイッチング周波数を100kHzのオーダにすることで変圧器は小型になります。当然、バッテリ電流を一定にする定電流制御の回路構成とします。

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