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光センサーの利用で白色LED の発光強度を制御Design Ideas ディスプレイとドライバー(1/2 ページ)

白色LEDを駆動する場合、一般的にはインダクターを使用した昇圧型DC-DCコンバーター回路方式を用いる。この方式では、電流検出抵抗にかかる電圧が一定になるように電流制御が行われる。しかし、LEDの発光強度については何らの対処もなされていない。そこで、今回は、光センサーによってLEDの発光強度を計測し、その計測値を制御ループのフィードバック信号として使用することで、LEDの駆動電流を制御し、発光強度を安定化させる回路を紹介する。

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発光強度の変化を補償するには


図1:LEDの順方向電流と発光強度の関係 (クリックで拡大)
LEDの発光強度は、順方向電流に大きく依存する。だ円で囲んだ部分のように標準的な順方向電流が流れている状態でも、その変化量は大きい。

 LEDの発光強度は、その発光色にかかわらず順方向電流と動作温度によって決まる。電流に対する発光強度の変化の度合いは、動作可能な電流範囲で150%程度にも達する(図1)。そのため、LEDアプリケーションの設計者は、まずは一定の電流値でLEDを駆動しようと試みる。

 このような考えに基づいて白色LEDを駆動する場合、一般的には図2に示すような回路を用いる。これは、インダクターを使用した昇圧型DC-DCコンバーター回路方式である。この方式では、電流検出抵抗R1にかかる電圧が一定になるように電流制御が行われる。すなわち、この制御系は、LED列両端の電圧値を変化させることでLEDに流れる電流を一定値に維持する。このとき、LEDの発光強度については何らの対処もなされていない。


図2:一般的なLED駆動回路 (クリックで拡大)
この方法ではLED列に流れる電流値を計測し、その結果に応じてLED列に印加される電圧を調整する。それによりLEDに流れる電流を一定値に制御する。

 直列に接続した白色LEDを電流源に接続するこの方法は、電流値が不変ならば発光強度も不変であるとの前提に立っている。残念ながらこの前提は成立せず、全てのLEDは動作時間とともに非線形的に発光強度が低下する。インジケーター用のカラーLEDであれば強度が低下する度合いは小さいが、照明用の白色LEDアレイともなれば動作時間が長くなると著しく発光強度が低下してしまう。また、発光強度は温度によっても変化し、動作温度範囲が広くなると照明性能に影響が現れる。例えば、図3(a)のような具合だ。

 動作時間、動作温度による発光強度の変化を補償するには、電圧と電流だけを使用した制御では不十分である。そうではなく、別の情報を加味した制御が必要となる。具体的には、光センサーを利用したフィードバック系を追加することにより、白色LEDの発光強度を動作時間と動作温度によらず一定に保持することができる。


図3:動作温度に対するLED発光強度の依存性 (クリックで拡大)
図2のような制御方式では、順方向電流が一定でも、LEDの発光強度が動作温度に依存して変化する(a)。動作温度全域での強度の変化は100%にもなる。光センサーを用いた制御を行うことにより、(b)のような結果が得られる。

 光センサーによってLEDの発光強度を計測し、その計測値を制御ループのフィードバック信号として使用することで、LEDの駆動電流を制御し、発光強度を安定化させるのだ。LEDの発光強度が低下したら駆動電流を増加させ、時間/温度の変化による発光強度の低下を補償することによって、図3(b)のような特性が得られる。

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