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サーミスタ(3) ―― NTCサーミスタによる温度検出回路中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(13)(2/4 ページ)

今回は、NTCサーミスタの基本的な用語解説と、NTCサーミスタの応用回路例としての温度検出回路について説明します。

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その他の基本用語

熱放散定数δ(JIS-C2570-1)

 この項目は既にサーミスタ編第1回で説明しましたが、熱放散定数(δ)は熱的定常状態においてサーミスタの表面温度を1℃上げるために必要な自己消費電力を表す定数で、サーミスタ表面の熱伝達係数(=1/熱抵抗)と同定義です。
 この値は熱的定常状態でのサーミスタ表面温度T1、周囲温度Ta、消費電力Pとの間から6式で求めることができます。指定のない限り、周囲温度Taとしては25℃が用いられます。

最大電力(JIS-C2570-1)(従来名:定格電力)

 小信号用サーミスタの用語です。既定の周囲温度で、サーミスタ表面温度を規定値に保つ時の電力の最大値ですが、発熱を伴う突入電流制限用サーミスタでは代わりの特性値として許容入力電流が規定されます。

周囲温度変化による熱時定数(JIS-C2570-1)

 温度T0で熱的定常状態あるサーミスタを、周囲温度をT1に急に変化させた時に、サーミスタが目標温度T1まで変化するのに要する時間です。電気的な時定数と同じくT0〜T1の温度差の63.2%に達するまでの時間を指します。

 この定数τを熱時定数といいます。T1は赤外線による熱放射の影響の少ない100℃以下にしますが多くの場合、85℃が用いられています。

 この他にも周囲温度Taにおいて一定の電力を消費させて熱的定常状態(温度T1)になった後、電力を遮断してサーミスタの温度がTaに戻る様子から熱時定数を求める方法も使われています。

 この方法は「自己発熱による熱時定数」(thermal time constant by the self-heat dissipation)と呼ばれ、サーミスタの材質、構造などによって両者の熱時定数が大幅に異なることがありますのでどちらの方法なのか、昇温なのか、降温なのかの定義も必要になります。

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