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組み込みシステムに浸透するフルカラーディスプレイ(3/3 ページ)

» 2006年09月01日 00時00分 公開
[Warren Webb,EDN]
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市販ディスプレイ

 開発期間を短縮するため、液晶画面、ディスプレイコントローラ、グラフィックライブラリ、タッチスクリーンを組み合わせた評価プラットフォームが数社のベンダーから提供されている。この市販プラットフォームを利用することでユーザーインターフェースを開発してソフトウエアを統合する手間を省くことができ、簡単なシリアルインターフェースを使ってグラフィックを機器に組み込むことができる。

 例えば、米Reach Technology社は最近、医療・産業・ゲーム用途向けのタッチパネル付き4インチ型カラーTFTディスプレイモジュールを発表した(図4)。同社のディスプレイモジュールキット「42-0086」には、画面操作用に自社開発した「SLCDコントローラ」と韓国LG Philips LCD社製の320×240画素液晶パネルが含まれている。このユニットには特別なOSも、ホストプロセッサ上のライブラリも必要ないため、ユーザーはインテリジェントなシリアルデバイスとして液晶にアクセスできる。

図4 Reach Technology社が開発したタッチパネル付き4インチのディスプレイモジュール 図4 Reach Technology社が開発したタッチパネル付き4インチのディスプレイモジュール 

 このシステムは50以上ある高レベルの命令のうちの1つを発行することで、テキストやグラフィックイメージをディスプレイに書き込む。標準機能としてさまざまなフォントを内蔵し、ボタン、チャート、メーターのほか、高レベルなマクロ機能が含まれている。

 内蔵されたタッチインターフェースを使えばグラフィックボタンを画面上で定義できる。これらのボタンを押せばシリアルストリングが返される。SLCDマイクロプロセッサコードには、グラフィックライブラリ、テキストフォント、定義済みビットマップ、コマンドインタプリタが含まれている。42-0086モジュールは、電源とシリアルケーブルがセットになった評価キットとして345米ドルで販売されている。

 組み込み機器向けのディスプレイシステムにおいて、機器のGUI(graphical user interface)の作成方法としては、次のような手法をとることもできる。例えば、PDA、ノート型パソコン、携帯電話機といった汎用機器への短距離ワイヤレス接続を利用すれば、機器操作のフルグラフィック表示が可能となる。Bluetooth、802.11、赤外線、あるいは有線接続を利用した場合でさえも、はるかに少ない開発労力とハードウエアコストでグラフィックを表示できる。インターネット接続を利用して、通常のウェブブラウザを搭載したパソコンをリモートフロントパネルとして使う方法もある。使いやすいインターフェースを作成するためのさまざまなウェブ開発ツールが無料または低価格で提供されている。インターネット接続機能があれば、遠隔からソフトウエアアップデートや製品データの収集も行える。

 パソコンや民生電子機器ではもはやグラフィックディスプレイが普通である。ユーザーの期待に応えて競争力を維持するためには組み込みシステムの設計者も同様のマルチメディア機能を提供する必要がある。複雑な組み込み機器も、GUIを利用すればよりシンプルで、簡単にアップデートできる効率的な製品に生まれ変わる。今では市販のハードウエア製品とソフトウエア製品を使って、小さな組み込み機器にも洗練されたGUIを簡単に組み込むことができる。

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