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» 2006年11月01日 00時00分 公開

より“賢いビル”の実現を目指し:オープン化へと向かうビルオートメーション技術 (1/4)

既存のプロプライエタリなシステムを活用しつつ、より高度な機能を実現したい――このようなニーズに応えるためのキーワードが「オープン化」であることは周知のとおりだ。インテリジェントビルを支えるビルオートメーション技術の世界にも、オープン化の波が押し寄せている。

[Warren Webb,EDN]

 社会の高度情報化が進むのに従い、高速なネットワーク技術を用いた、オープンで相互運用可能なシステムが求められるようになってきた。この傾向は、インテリジェントビル(高度情報化建築物、スマートビル)を実現するビルオートメーション技術の分野でも見られる。同分野では、個々のサプライヤがそれぞれ独自のアプローチで開発した製品を提供するという形態から、標準化すべき部分は標準的な規格に基づいて開発した製品を提供する形態へと変革が加速している。

 このような変革が進めば、照明、空調、セキュリティといった事柄を制御/管理するいくつかのビルオートメーションシステムが、デジタル化された情報を互いに共有するということが可能になる。また、そうした情報は、企業間、あるいはウェブベースのビジネスアプリケーション間でも共有できる。こうしたことにより、制御/管理にかかるコストが低減され、変化にリアルタイムに対応することが可能となる。将来的には、気候の変化、エネルギーの供給量不足、近隣の火災、さらには近傍で発生した犯罪などに自動的に対応するビルオートメーション技術が実現されるであろう。

 多くのインテリジェントビルシステムには、いくつものセンサーと特殊なアクチュエータが分散配備されている。それらは、ローカル/リモートのプロセッサで実行されるアプリケーションソフトウエアに接続されている。通常、そうしたシステムは、温度調整や防火といった目的に応じた機能を実現する。そうした機能は、ビルオートメーションシステムの統合、高度化が進むことにより、履歴データや、天気予報、リアルタイムなエネルギー価格といった外部からのデータを利用して最適化されるようになる。

 システムの統合を進めるに当たっては、それまでビルオートメーションメーカーがさまざまな通信/ネットワーク体系を混在させて使用してきたという事実が障害となる。現状の多くのシステムは、膨大な数の独自スキームやいくつかの標準的なプロトコルに基づいて通信を行っている。また現在では、企業情報システムにつながるネットワークがさまざまなところに存在する。そのため、最近のビルオートメーションでは、その広帯域幅のネットワークを利用できるようにシステムを変更するケースが増えてきた。TCP/IPネットワークでデータを授受するように変更されたビルオートメーションプロトコルも存在するが、その場合でも、システム特有の情報を抽出するために特殊なゲートウエイ機器を必要とすることが多い。

 このように、ビルオートメーションの世界は大きく変化しつつある。本稿では、ネットワーク技術を中心に置き、インテリジェントビルを実現するための最新技術動向を紹介する。

標準的なプロトコル

 上述したように、ビルオートメーションを実現するための標準的なプロトコルがすでにいくつか存在する。ここでは代表的なプロトコルとして、BAC net(building automation and control network)とLonWorks(local operating network)の2つを紹介する。

■BACnet

 BACnetは、ASHRAE(American Society of Heating, Refrigerating, and Air conditioning Engineers:米国暖房冷凍空調工学会)が推進するANSI/ ISO規格であり、インテリジェントビルシステムのためのオープンな通信プロトコルとして広く利用されている。同規格は、イーサーネット、BACnet/IP、Point to Point Protocol over RS-232などに対応したいくつかのPHY(物理)層を定義している。

 同規格では、データをオブジェクト、属性、サービスとして表す。データと動作を表現する方法を標準化することにより、異なるメーカーの機器の相互運用を可能にすることが狙いだ。ただし、BACnet対応機器は通常、HVAC(heating, ventilating, and air conditioning:暖房、換気、空調)の分野に限られて使用される。

■LonWorks

 LonWorksも、ビルオートメーションシステムでよく使用されるプロトコルである。これは米Echelon社が開発したもので、プロトコルというよりも、正確にはネットワークの構成要素の総称だといえる。LonWorksは、独自のニューロンチップまたはEchelon社からライセンスを受けたIPを必要とする。

 LonWorksは狭帯域幅で利用可能であるため、交通業界などでもよく使用されている。BACnetよりもサポートしているビルオートメーション技術の種類も多い。LonWorksでは、ネットワークの構成やほかのデバイスの名前、アドレス、機能を知らなくてもデバイスのアプリケーションソフトウエアとネットワークとの間でメッセージの送受信が可能なサービス群が提供されている。

 なお、このプロトコルのオープン版として、ANSI/EIA709が存在する。アルゴリズムをより詳細に定義することで、汎用プロセッサでも利用できるようになっている。

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