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» 2007年02月01日 00時00分 公開

組み込み向けプラットフォームの真価「DaVinci」の設計環境を試す(3/3 ページ)

[Robert Cravotta,EDN]
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プラットフォームを取り巻く環境の相違点

 DaVinciプラットフォームとOMAPプラットフォームの開発エコシステムの違いをもう1つ挙げる。それはDaVinciプラットフォームに関しては、TI社が窓口となって、顧客に対する技術サポートとサードパーティ製のハードウエア/ソフトウエアIP(intellectual property)のライセンス供与を行うための役割を担う点である。これにより、チップの設計チームにとってはサードパーティ製IPを入手して利用するための負荷が軽減される。サポートチームは問題や課題を追跡し、関連する情報をより迅速に、同じ問題を抱えるグループ間で共有することを可能にする。TI社にとっても、技術上およびビジネス上の課題や、今後のサポート要求をより容易に把握できるようになり、次に現れるビジネスチャンスに対し迅速に対応できるという利点がある。

  DaVinci評価モジュールには、OMAP開発キットとの相違点がもう1つある。どちらのプラットフォームもヘテロジニアスなマルチコアシステムだが、DaVinci評価モジュールには、3つ目の異なるプロセッサコアとして消費電力が極めて低い16ビットRISCマイクロコントローラ「MSP430」が基板に実装されているのである。これは、評価基板上の9つのLED、赤外線インターフェース、リアルタイムクロックの操作と制御を行う。設計者は、オンチップのI2Cレジスタに読み書きすることでMSP430にアクセスする。

 組み込みシステムの複雑さが増すに連れ、アーキテクチャが異なる複数のプロセッサコアを1チップに搭載するケースは、ますます増加するであろう。NXP Semiconductors社の「Nexperiaプラットフォーム」などがその例である。同プラットフォームは、MIPSコアとTriMediaコアを組み合わせ、ハードウエアアクセラレータやメディア処理機能を1チップに搭載しており、DaVinciプラットフォームやOMAPプラットフォームに似たAPIを採用している。ほかの例としては、NECエレクトロニクスの「EMMA(enhanced multimedia architecture)」プラットフォームがある。同プラットフォームは、1チップに最大16個のプロセッサコアを内蔵できる。32ビットRISCプロセッサ、DSP機能付き32ビットRISCプロセッサ、および64ビットRISCプロセッサ、ハードウエアアクセラレータ、ストリームプロセッサなどが搭載されている。アプリケーションプロセッサやDSPを併用するために、カスタマイズされたハードウエアアクセラレータ/コプロセッサの作成や使い勝手を容易にしたり、開発の自動化を支援したりするツールも次々に提供されている*3)、*4)。

 1チップにアーキテクチャの異なる複数のプロセッサコアを搭載した、複雑な組み込み設計が今後も引き続き増加していく。このことから、システムレベルのパーテショニング、ソフトウエアの並列性の確認と実装、すべての処理エンジンの動作検証と相互運用性を支援するために、ソフトウエア開発ツールが必要となる分野が増大している。開発者は、その他のコア上のソフトウエアとの相互作用の影響を抑えるように各プロセッシングアーキテクチャまたはコアを設計することができる。これによって、どのようにすれば業界において再利用可能なソフトウエア部品を構築し、共用することができるかという問いに対する回答も、わずかではあるが見えてくる。プラットフォームプロバイダは、一般ユーザーに対しては専用プロセッサへのアクセスを禁止し、専用プロセッサの内部には、ある特定顧客にだけアクセスを許可をするという形をとることで、専用プロセッサ上の必要な機能をより安全にソフトウエアで実装することができる。

 ソフトウエア部品の再利用を容易にし、相互運用の信頼性を高めるための構造は、ソフトウエアの複雑さを取り除くために重要である。現在のところ、この目標は限られた範囲でしか達成できていないが、対象分野を絞った専門団体が、ソフトウエア部品間の相互運用性に対するワーキングモデルを定義し、作成しようと努力している。このような団体には、CE Linux Forum、Digital Living Network Alliance、SDR Forumなどがある。

 組み込み機器プラットフォームはますます複雑になる。その開発をサポートする開発エコシステムは、プラットフォームプロバイダとパートナー、そのプラットフォームを利用する設計チームの成功のために不可欠なものとなりつつある。広範囲にわたる多種多様なシステムレベル設計者は、それぞれが対象とする分野の問題を解決するために、少数の専門家が構築した組み込み機器アーキテクチャをいかにして迅速かつ安全に活用し、取り込んでいくことができるかどうかが重要である。初期段階の開発エコシステムは、この概念が実現可能であることを提示しているといえる。


脚注:

※3…Cravotta, Robert, "EDN hands-on project: Accelerate your performance," EDN, Nov 11, 2004, p.50.

※4…Cravotta, Robert, "EDN hands-on project, part 2: Automate your acceleration," EDN, Dec 7, 2004, p.55.


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