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» 2007年05月01日 00時00分 公開

「品質」で失敗しないためのアプローチを知る:半導体IPの正しい選び方 (2/5)

[Michael Santarini,EDN]

コストを大きく左右するIPの品質

 設計者らに今日のIPにおける最大の課題は何かと尋ねれば、必ずといってよいほど「品質」という答えが返ってくる。米Pixelworks社の前 CTO(最高技術責任者)を務めたRichard Tobias氏は、「実際のところ、IPの品質に関しては最悪の状況にある」と語る。同氏は「ARM社や米MIPS Technologies社などの主要なIPベンダーは、かなりうまく高品質なIPを提供している。しかし、より小規模な独立系のベンダーは、それほど高い品質を実現できておらず、利用する側がIPに手を加えなければならない。特に、アナログIPの場合は、膨大な追加作業が必ず発生する」と指摘する。

 米PMC-Sierra社の技術アクセス担当ディレクタを務めるNorbert Diesing氏も同意見である。同氏は2006年秋に行われたFSA(Fabless Semiconductor Association:ファブレス半導体協会)のパネルディスカッションにおいて、「LSIベンダーはそれぞれに、あるIPベンダーに対してほかのIP ベンダーよりも厚い信頼を置くことになる。しかし、それでも常にある程度の不信感は抱いているものだ。われわれの経験からいって、IPの品質は不十分だ。多くの場合、IPベンダーは自社IPに対して十分な検証を行っていない」と述べた。さらに、Diesing氏は「当社では、IPを利用した開発プロジェクトで予算をオーバーしてしまったことがあった。そのため現在では、当社の設計マネジャらは常にIPのライセンスコストの30%を予算に上乗せし、自社の設計にIPを組み込む際に追加で生じるコストをカバーするようにしている」と付け加えた。その追加コストの大部分は、ハードウエアIPの機能の再検証と、そのIPを利用する製品がファウンドリのプロセス技術に適合していることを確認するために費やされるという。

 低品質のIPを利用すると、顧客が追加のコストを負わなければならなくなる。それだけでなく、ファウンドリ企業やIPベンダーにも追加のコストが生じる可能性がある。FSAの関係者は、「低品質なコアは、LSI設計の全体にわたって追加のコストを発生させる可能性がある」と指摘する(図1)。

図1 IPの利用時にかかるコスト 図1 IPの利用時にかかるコスト IPの利用時にかかるコストは、ライセンスコストのみではない。この図は、IPの開発費用ならびに利用時にかかるコストの内訳を表している(提供:FSA)。

「HIP」の登場

 品質の悪いIPは余分なコストを生じさせる。これは非常に大きな問題である。そのため、FSAは加入企業の要求に応じ、2003年終わりにVSIAと協力して、QIPの開発を促進/迅速化するための支援を行った。米Virage Logic社のマーケティング/ビジネス開発担当シニアバイスプレジデントであるJim Ensell氏は、2006年秋に行われたFSAのパネルディスカッションにおいて、「IPの購入に関しては、おそらく小規模なファブレスベンダーが最も無頓着だ」と述べた。「彼らはIPが最初からうまく動作すると信じて購入する傾向がある。そのため、IPの作り直しにかかるであろうコストを最初に想定していない」(Ensell氏)という。

 FSAは、その後のQIPの開発に対しては支援を行っていない。VSIAは最近、QIPをシミュレーションモデル、つまり検証用IP向けにも拡張した。一方で、FSAは2006年にVSIAとは別にHIP(ハードウエアIP)品質リスク評価ツールを開発した。このツールは、FSAのウェブサイトから無償ダウンロードが可能である。その開発の指揮をとった米IBM Microelectronics社シニアエンジニアリングマネジャのRaminderpal Singh氏は、「この評価ツールは、企業がIPを比較し、あるベンダーのIPを選択する際のリスクと、選択後に生じるコストの評価を支援するものだ」と説明している。

図2 HIPのチェック項目の例 図2 HIPのチェック項目の例 

 QIPは、チェックリスト項目の標準セットを提供する。主にソフトウエアIPと検証用IPを対象とし、各IPに対して単一のスコアを付与するものであった。一方のHIPは、IPを7つのカテゴリに分類して評価する。チェック項目としては図2に示したようなものがある。

 またHIPはカスタマイズが可能で、LSIベンダーやファウンドリが、独自のIPリポジトリに独自のバージョンのツールを追加できるようになっている。さらにHIPでは、1つのスコアカードによって最大20のコアを比較することが可能であり、ベンダーやサプライヤがデータを安全に共有できるようにしている。ただし、現時点ではHIPのツールがサポートするのはハードウエアIPのみである。

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