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» 2007年05月01日 00時00分 公開

「品質」で失敗しないためのアプローチを知る:半導体IPの正しい選び方 (3/5)

[Michael Santarini,EDN]

正しい選択のためのアプローチ

 ここまでに述べたように、すべてのIPに適用可能な標準規格や、すべてのIPに対応するマスターIPリポジトリは存在しない。しかし、設計者はいくつもの参考情報やノウハウを活用することで、高品質のIPを選択することができる。その選択を効率良く、かつ正しく行うためには、あるアプローチに従うとよい。そのアプローチは、以下の4段階のステップを踏みながら選択肢を絞り込む作業となる。

(1)多くのIPを比較する

(2)ベンダーについて吟味する

(3)利用経験者から情報を収集する

(4)評価スコアを取得する

 それにより、自社のプロジェクトに最適なIPをより容易に特定することができる。以下、各ステップの詳細について順に説明を進める。

ステップ1――多くのIPを比較する

 回路の再利用を考える場合、どの設計チームも、まず最初に社内のライブラリを検索することになるだろう。一度利用したことのある回路ブロックが社内にあれば、それを再利用するのは困難なことではない。しかし、社内にコアはあるものの、モデル、テストベンチ、ドキュメントなどが存在しない場合や、そのコアのアーキテクチャをすでに採用していない場合には、社外へと目を向けるべきだというのが専門家の意見である。

 ドキュメントが存在しないコアを使用する場合、ライセンス料はかからないが、コアを再設計することになる可能性が高い。数年前、米Motorola 社の幹部が「社内にPCIコアが3つもあったが、それでも米Phoenix Technologies社のPCIコアのライセンスを購入した」という事実を嘆いていた。Motorola社が自社のコアを選択しなかったのは、IPリポジトリと自社のIPカタログを作成する方法を確立できていなかったためである。再利用の検討を進めたものの、最終的にはIPをライセンス購入することに決めたという。ちなみに、Phoenix Technologies社のIPグループは現在Synopsys社が所有している。

 社内にコアが存在しない場合は、ターゲットとするASICベンダー、ファウンドリ、またはFPGAベンダーが所持しているIPを探すとよい。それらの企業は、顧客企業がうまく設計を行い、適切な時期に市場に製品を提供することを心から望んでいる。顧客企業が大量生産に成功することが、IPコアの開発コストの回収につながるからだ。FPGAベンダーやASICベンダー、より最近では台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)社、台湾UMC(United Microelectronics Corporation)社、あるいはシンガポールChartered Semiconductor Manufacturing社、韓国Samsung Electronics社、ドイツInfineon Technologies社らによる共通プラットフォームアライアンスなどのファウンドリが、膨大なIPリポジトリを構築している。多くのベンダーは推奨 IPベンダーの紹介も行っており、適切なIPを検索するために支援してくれる場合もある。

 ほかには、EDAベンダーの所有するIPを探してみるのもよい。主要なEDAベンダーであるSynopsys社、米Cadence Design Systems社、米Mentor Graphics社は、いずれも膨大なIPライブラリを所有している。例えば、Synopsys社は10年以上にもわたり開発/買収によって蓄積してきた膨大なソフトウエアIPのポートフォリオを持つ。主要なIP企業3社の1つであるとアナリストに評価されることも多い。また、ツールの利用者に対しては、 IPを無償または極めて安価に提供するEDAベンダーもある。古くなったコアは、合成用のライブラリの標準マクロ関数として利用可能になることも多い。

 いずれにせよ、IPを選択する前に可能な限り検索を行い、すべての選択肢を評価すべきである。入手可能なIPの一覧を得る良い方法は、Design&Reuse(http://www.design-reuse.com/)やChip Estimate(http://www.chipestimate.com/)などのウェブサイトでIPカタログを調べることだ。両サイトとも複数のIPベンダーとその製品を列挙しており、種類別にIPを比較できるようになっている。それにより、ユーザーはどのベンダーがどのようなIPを提供しているのかを知ることができる。IPカタログの分野には競争が生じ始めている。そのため、これらのサイトは、ユーザーが選択肢を絞るためのさらに詳細な情報を提供するようになると考えられる。

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