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» 2007年05月01日 00時00分 公開

3つの策で「難敵」をシャットアウト!:高速シリアルバスをサージから守る (3/4)

[Burke Henehan(米Texas Instruments社),EDN]

・グラウンド線に対するケア

 グラウンドをどのように接続するかというのは面倒な問題である。特にコモンモード信号を伝送する場合には、リターンパス、言い換えればケーブルのグラウンド線を低インピーダンスにする必要がある。このため、サージ(あるいはEMI)の対策方法として代替手段がないといった場合を除いては、フェライトビーズをグラウンド線にシリーズに挿入すべきではない。また、フェライトビーズを使用する場合には、その効果、影響をテストによって十分に確認しておく必要がある。

 コネクタに極力近い場所で、筐体グラウンドと信号グラウンドとの間にコンデンサを挿入するとサージ対策効果が得られる。このコンデンサには電流を分割する作用がある。ほとんどの電流は信号ラインと信号グラウンドとの間に流れるが、一部がコンデンサを経由して筐体グラウンドに流れ、それによってサージ対策効果が得られる。サージ対策では、コンデンサをできるだけサージの発生源であるコネクタの近くに配置する。同様に、フェライトビーズも、コネクタの近くに配置する*1)。

・信号線に対するケア

 高速信号ラインの扱いも、全ラインに同等の処置を施す必要があるため面倒である。高速信号ラインの1つに何らかの対策を講じるということは、多くの場合、差動伝送ラインの両方に同じ処置を施さなければならないということになる。そのための最良の方法としては、コモンモードチョーク(以下、チョーク)が挙げられる。チョークは、両方の信号ラインに共通なコモンモード信号に対してはインピーダンスが高くなり、差動信号そのものには影響しない。ESD/EOSはコモンモードの現象であるため、チョークを用いることにより対策効果が得られる。ただし、その場合にも部品の配置が重要となる。サージに対する効果を最大にしたい場合には、チョークをコネクタの近くに配置するのがよいだろう*2)。2組の差動ラインを持つIEEE 1394の場合、共通コア構造のチョークであれば1個で済み、基板上での実装面積が小さくなる。ただし、個別タイプのチョークを各々のラインに使用すればクロストークを減らすことができる。このことから、実装面積を犠牲にしても、個別タイプのチョークを選択することが多い。

 なお、高速ツイストペアの信号ラインにはコンデンサを挿入してはならない。高周波になると、数ピコファラドの容量が信号品質の問題を引き起こすからだ。コンデンサを後から追加したために、試験の初めには正常であったエラーレートが、いつの間にか高くなっていたといった症状が起きることがある。

 また、チョークはさまざまな条件が明確化されている場合以外には安易に使用すべきではない。IEEE 1394では、パケット伝送速度を決めるための信号(スピードシグナル)がコモンモード伝送になる。このようなコモンモード伝送経路にチョークを挿入すると、より高速のパケットが通らなくなる恐れがあるからだ。

・プリント基板の設計

 プリント基板の設計にも注意が必要だ。本稿の例と同様のケースでは、2層プリント基板の使用は適切ではない。高速シリアルバスが動作する高い周波数では、信号パスとリターンパスで形成されるループのインピーダンスによって信号品質が決まる*3)。信号パターン層のすぐ下をベタグラウンド層にし、信号パターンがビアを経由しないようにすれば、レイアウトが容易になる。一方、ビアを使用すると信号品質が劣化し、信号ラインのループ面積を最小にするには層間をどう接続すべきなのかといった心配をしなければならない。こうしたことが、レイアウトを過剰に複雑化させるのだ。

 このようなケースでは、4層プリント基板を用いて、トランシーバチップからコネクタ端子に至るツイストペア信号ラインの下をベタグラウンド層にするとよい。そして、筐体のグラウンド接続点とコネクタシェルとの間は太いパターンで接続し、また筐体のグラウンド接続点には筐体接続用の導体を引き出すための端子を用意しておく。このような基板レイアウトでは、筐体グラウンドへの接続パターンを単純化することよりも、信号ラインの全長にわたって、その下にベタグラウンドを配置することを優先すべきである。


脚注:

※1…EMIに対しては、フェライトビーズに隣接するコンデンサを筐体グラウンドではなくトランシーバ回路のグラウンドに接続する。そして、EMIの発生源であるトランシーバチップの近くにコンデンサとフェライトビーズを配置する。サージ、EMIのどちらを重視すべきか十分な判断材料がない場合には、フェライトビーズをコネクタの近くに配置するとよい。

※2…EMI対策が最重要課題である場合は、この限りではない。

※3…EMIの放射量もこれによって決まる。


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