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進化を続ける組み込みシステムボード規格“究極の標準”を求めて(2/4 ページ)

» 2007年06月01日 00時00分 公開
[Warren Webb,EDN]

過去の資産を活用した規格

 業界団体はさまざまなシステムボード規格を策定している。その中には、過去の資産やパソコンの規格を利用することで低価格化や設計の容易さを図ったものがある。そのような規格の例として、本稿ではCompactPCIとCompactPCI Expressを取り上げる。

・CompactPCI

 CompactPCIは、組み込みシステム業界の大部分に対応するような機能セットを提供しようと、これまでアップデートを繰り返してきた。同規格はPICMG(PCI industrial computer manufacturers group)が管理しており、PCIベースの低コストのデスクトップハードウエアを頑丈なパッケージに収めることを目標としている。これにより組み込みシステム開発者は、市販のチップやデスクトップパソコン用のアプリケーションソフトウエアを利用できるようになった。

 CompactPCIは業界標準のEurocardのサイズを基にしており、3Uおよび6Uの基板サイズを規定している(3Uは100mm× 160mm、6Uは約233mm×160mm)。3Uよりも一般的な6U版には、カードの背面に5個のコネクタがあり、そのうち2つは CompactPCIバスに、残り3つはオプションでユーザー定義のI/O接続に割り当てられている。PICMGは、高性能アプリケーションに向けて何度か同規格のアップデートを繰り返し、デュアルスイッチのギガビットイーサーネットをパケットスイッチングバックプレーンのユーザー定義ピンに追加した。

図1 MENMikroElektronik社のF17 図1 MENMikroElektronik社のF17 F17は、Intel社製2.16GHzCore2Duoプロセッサを搭載した3Uのシングルボードコンピュータである。CompactPCIExpress規格に準拠している。

・CompactPCI Express

 最近では、PICMGはデスクトップ型パソコンの技術進歩に対応し、PCIeをCompactPCIに取り入れたCompactPCI Express規格を策定している。同規格は、パケット通信によるデータプロトコルを採用しており、拡張可能で広帯域幅のデータパス、PCIハードウエアおよびドライバソフトウエアとの互換性を持つことを特徴とする。基本的なPCIeリンクは、LVDS(low-voltage differential signaling:低電圧差動伝送)の差動入出力ペア(レーン)から成り、双方向に2.5ギガビット/秒で通信可能である。このレーンを必要な分だけ足し合わせることにより、PCIeリンクの帯域幅を増やすことができる。

 ドイツMEN Mikro Elektronik社は、米Intel社製の2.16GHz Core 2 Duoプロセッサを搭載した3UのCompactPCI Expressシングルボードコンピュータ「F17」を提供している(図1)。同製品はIntel社のMobile 945GM Expressチップセットを搭載しており、6本のPCIeレーンと2本のSATA(serial advanced technology attachment:シリアルATA)を備える。ボード上のメモリーとしては、Core 2 Duoに集積された4MバイトのL2キャッシュと、最大4Gバイトの高速DDR2 DRAMがある。フロントパネルの標準I/Oには、VGAコネクタ、PCIeによって接続された2個のギガビットイーサーネットインターフェース、2個の USB 2.0ポートがある。F17は、Intel社の組み込み製品ラインの部品を採用しているため、最低でも5年間は規格が有効であることが保証されている。 MEN Mikro Elektronik社は、Windows、Linux、VxWorks、QNX用のボードサポートパッケージを提供している。F17の価格は2920米ドルである。

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