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SiPによるシステムLSIの開発(2/3 ページ)

» 2007年06月01日 00時00分 公開
[Mario Manninger(オーストリアaustriamicrosystems社),EDN]

IPの利用で発生した問題

 民生向けの製品は短期間で開発することが求められる。これは、社内外のIPブロックを利用すれば理論的には可能である。そのため設計チームは、すでに実績のあるIPを探し、パフォーマンスなどをチェックして、価格と法的条件の交渉を行うことにした。同種のIPが複数のベンダーから入手できる場合には、詳細な比較を行った。その際、まだ実績のないものについては、一般的な開発スケジュールを案出してそれを検討要素に加えた。IPとして入手できないものは、チームで独自に開発を行った。

 プロジェクトの開始時に、購入したIPブロックのすべてが完全だったわけではない。そのため、製品の開発には大きな不安が残っていた。プロジェクトの開始時点で設計者らはIPプロバイダと開発スケジュールを取り決めていたが、以下に挙げる4つの大きな問題が発生した。

  • あるIPプロバイダの開発スケジュールが遅れた。テープアウトのフェーズで設計チームは度重なる変更を迫られ、何度かは土壇場になってECO (engineering change order)を実施する必要があった。その結果、物理設計(レイアウト設計)を2度繰り返すハメになり、スケジュールはさらに遅れて開発コストが大きく膨らんだ
  • 完全に要件を満たしていると思っていたIPブロックが、規定の温度範囲に対応しておらず、ハードウエアの再設計が必要となった
  • あるIPブロックが、一般的なウェーハ材料ではパフォーマンス仕様を完全に満たすことができないことが判明した。ウェーハ分割ロットでパフォーマンスを分析した後に、配線層の再設計を行わなくてはならなかった
  • あるIPブロックが仕様通りに機能しなかった。そのサプライヤは問題点を解決できなかったので、設計チームが丹念に分析してその設計に大幅な修正を加えた

 当社のチームは、このプロジェクトでいくつかのIPブロックを開発した。パフォーマンス面でクリティカルなすべてのブロックに、競争上の優位性を持たせるためだ。具体的には、チームの知識が集約されたNAND型フラッシュメモリー用インターフェースのほか、システムの電力消費量を最適化するためのチップ制御ユニットとクロック生成ユニット、内蔵マイクロコントローラと小型ディスプレイで利用する柔軟なディスプレイインターフェース、DC-DCコンバータやチャージポンプ、低飽和型レギュレータ(LDO)、チャージャなどの電力管理ブロック、アナログのオーディオブロックなどを開発した。

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