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» 2007年07月01日 00時00分 公開

熱設計の基礎理論から評価/計測ノウハウまで:「熱」と正しく向き合う (1/8)

温度の変化は、予期せぬ回路動作や部品の破損を引き起こす原因となる。本稿では、熱が部品に及ぼす影響や、部品が発生する熱量の見積もり方、温度測定環境の整え方、実際の熱測定の方法など、熱設計を正しく行うためのポイントとなる事柄について解説する。

[Paul Rako,EDN]

熱に対する脆弱性

 電気/電子回路は、高温、低温のどちらからも悪影響を受ける恐れがある。過度に温度が高い場合、チップは燃焼してしまうかもしれない(図1)。燃焼しないとしても、予期していなかった温度に回路がさらされると、多くの部品に問題が生じる可能性がある。その場合、回路は期待通りには動作しないだろう。

 同様に注意すべきなのは、回路の温度が高温から低温へ変化した後、再び高温に戻るときである。この場合は熱衝撃が生じ、部品が破損してしまう恐れがある。


図1 無残に破損してしまった電気自動車のモーターコントローラ(提供:Otmar Ebenhoech氏) 図1 無残に破損してしまった電気自動車のモーターコントローラ(提供:Otmar Ebenhoech氏) 

 ケタリング大学の電気工学教授であるJames McLaughlin氏は、「数百度以上に加熱すると、シリコンチップは“本来の姿”になる」と語る。つまり、温度を上げていくと、ドーピングされた不純物が格子内を移動してPN接合がなくなり、不純物を含む伝導性のシリコンの固まりとなる。さらに加熱すると、ボンディングワイヤーが破断するか、シリコンが蒸発するまで溶け続けることになる。

 米National Semiconductor社の元製品エンジニアで、現在はコンサルタントを生業とするMartin DeLateur氏は、「165℃より温度が高くなると、パッケージのモールド樹脂が炭化し始める」と語る。そうすると、モールド樹脂は硬い灰色の物質に変化し、内部に含有、凍結、吸収、吸着されていた難燃剤などのポリマー添加物のガスが徐々に放出される。このガスはチップに向けても放出され、ICの短期的/長期的動作に影響が生じる可能性がある。ボンディングワイヤーに過剰な電流が流れることによってもモールド樹脂は炭化するし、ボンディングワイヤーが溶けてしまう可能性もある。最後には、熱膨張により、パッシベーション膜をはじめとするチップそのものや、炭化したモールド樹脂に亀裂が入り、大きな破損が生じる。

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