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» 2007年07月01日 00時00分 公開

画素数競争の先には何があるのか:デジカメ設計の“次の一手” (4/4)

[Brian Dipert,EDN]
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より良い画質の追求

 単にイメージセンサーからの信号のゲインを増やし、その結果生じるノイズを除去する2段階方式では、十分に安定なイメージが得られないことがある。例えば、Nethra社のWong氏は、「携帯電話端末のカメラはフォームファクタが小さく、大抵は片手で操作するため、手ブレを起こしやすい」と指摘している。この手ブレに対応するには、より精巧な画像処理が必要となる。そのためには、大規模なイメージセンサーが必要である。プロセッサは高コントラストなイメージ内の画素の位置を特定し、その位置が1つのフレームから別のフレームに移動すると、シーン全体がセンサーの境界内に収まっている限り、キャプチャしたイメージを移動させることによって補正を行う。より精巧な画像安定化方式として、加速度計によって検知されたカメラの動きに応じてイメージセンサーまたはレンズ素子を動かす電気的/機械的な手法もある。

 画素のピッチが小さいことが、画像処理にとって極めて不利に働くと結論付けるのは簡単なことである。しかし、その結論は必ずしも正しくない。実際、非常に高い解像度を必要とするアプリケーションも存在するからだ。例えば、スウェーデンのHasselblad社はつい最近、31メガピクセルのDSLR「H3D-31」を2万4995米ドルで販売し始めた。これは、2006年に発売された39メガピクセルモデルの下位機種に当たる。うわさによれば、キヤノンも22メガピクセルのDSLRを開発中だという。

 3つのセンサーで構成するプリズムベースのものや、米Foveon社のアプローチのように、1ピクセル当たり3つの光検出器を使うものを除けば、最近のデジタルカメラに搭載されているほとんどのセンサーは、光検出器アレイの前にマルチカラーフィルタアレイを組み込んでいる。このフィルタの方式に工夫を施す企業もある。

 イメージごとに複数センサーの画素を利用する手法により、最終イメージのダイナミックレンジを広げる手法もある。HDR(高ダイナミックレンジ)の写真を撮りたい写真家は、同じシーンを露光不足、露光過剰、適正露光にして撮影し、その写真を「Adobe Photoshop」などのソフトウエアを使ってコンピュータで組み合わせている。この方法は、動く被写体には使えないことに加え、煩雑で時間がかかる。その代わりに、可変減光フィルタアレイをセンサーの前に置くか、変化する光子集積特性に基づいてセンサーのサブピクセルを設計することにより、1回の撮影で同様の結果を得ることができる。

 静止画像を扱うアプリケーションにおいて、JPEG形式は、HDRなどの高度なイメージング技術に利用するにはもはや時代遅れのものとなっている。米Microsoft社の「Windows Vista」と同社の最新イメージングアプリケーションは、「Windows Media Video」のHD Photo形式を強力にサポートしている。同社は、これによってイメージング技術の革新を阻んでいるJPEGの問題を解決したいと考えている。同社製品マネジャのBill Crow氏は、以下のように語る。

 「HD Photo形式にはさまざまな変換方式が採用されているが、その中核を成すのは、JPEGのDCT(離散コサイン変換)と同様のものだ。HD Photoのアルゴリズムは、圧縮効率を大幅に向上させるためにより複雑なものとなっているが、その処理に複雑な演算や命令は必要としない。すべての処理は単純な整数計算で行われるため、並列処理、パイプライン処理、あるいはその両方によって容易に高速化できる。最も重要なことは、このアプローチによって可変ビット長の処理量が減ることだ。この処理は、アルゴリズム全体の中でも高速化が最も難しい部分だ」。

 HD Photoのサポートを広くイメージングアプリケーションに組み込むために、Microsoft社はDevice Porting Kit(デバイス移植キット)を無償で提供している。また、同社はApple社の「Mac OS X」向けにQuickTime用コーデックも提供する予定だ。

必要なのは斬新な機能

 TI社のFerrell氏は、「デジタルカメラの機能は平準化し始めている。これからは新機能を見ることも少なくなるだろうが、その代わりに応答時間が短縮されたり、すでにシステムに内蔵されている最新機能の処理速度が上がったりといった、既存の機能の改良が進むだろう」と語る。

 ある意味では、Ferrell氏の見方は正しいかもしれない。しかし、DSCをすでに所有している人に買い替えを促したり、DSCを買ったことのない消費者に購買意欲を沸かせたりするような、より斬新な機能を持った製品は数多く存在する。

 そうした製品の例としては、米GoProのスポーツ愛好家向けデジタルカメラ「Digital Hero 3」が挙げられる。この製品は、ユーザーの手首にストラップを巻きつける形で使用する。3メガピクセルイメージの連続撮影や、54分間の30フレーム/秒ビデオ撮影(音声付き)が可能であり、その重さは約130gだ。また、水深100フィートまでの耐水性がある。希望小売価格は139.99米ドルとなっている。

 Kodak社は2005年度のCESで、4メガピクセルの「EasyShare-One」を発表した。このカメラはWi-Fiトランシーバを内蔵しているので、無線を使って、写真を添付した電子メールを送付したり、パソコンに写真をアップロードしたり、Kodak社のオンラインストレージサービスに直接アクセスしたりすることができる。現在市場に出回っているカメラの多くは、有線のUSBリンクに加え、印刷や写真転送のためにBluetooth接続機能を搭載している。UWB(ultra wide band)対応チップのベンダーは、今後のビジネスチャンスとしてこれと同じアプリケーションに着目している。

 もう少し例を挙げると、韓国Samsung Electronics社の7メガピクセルのDSC「VLUU i70」は、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)によるデータ接続機能と、テキストメッセージング機能を備えている。三洋電機のハイブリッド高精細スチルカメラ/ビデオカメラの「Xacti DMX-HD2」は、ディスプレイに直接つなぐためにHDMI(high definition multimedia interface)トランスミッタを搭載している。リコーの8メガピクセルのDSC「Caplio 500SE」など、GPSモジュールを備えている製品であれば、ユーザーは写真を撮った場所を記録することができる。

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