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最新研究:ジェスチャインターフェース(4/4 ページ)

» 2007年12月01日 00時00分 公開
[Robert Cravotta,EDN]
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視覚や触覚の情報も活用

 潜在的な誤りや誤解を補正するもう1つの重要な方法は、関連した情報をユーザーに対して十分にフィードバックすることにより、ユーザーが適切に自分の操作や動きを変更できるようにすることである。よく使用される仕掛けは、視覚情報のフィードバックである。マウスのカーソルはほとんどのシステムにおいて、ただのポインティングデバイス以上の役割を果たす。例えば、システムが高負荷の状態になっていることや、その理由をユーザーにフィードバックするといったことが行われる。Wii用リモコンのジェスチャインターフェースが成功した理由の1つは、システムソフトウエアが時間の経過とともに改善され、プレーヤのジェスチャをより適切に感知できるようになることである。フィードバックの提供方法が優れていることも理由の1つだ。例えば、ユーザーの意図するジェスチャをシステムが適切に解釈できるように、ユーザーが自分の動きをどのように微調整すればよいかを画面上で視覚的に表示して指摘する。

 多様なフィードバックを必要とするコンポーネントが複数の感覚を扱うようになるに連れ、触覚に関連するフィードバック分野が伸びてきた。ゲーム機器では、数年前からハンドヘルドコントローラに振動機能が採用されている。Segway PTは、操縦桿に振動を与えることにより、エラーの状態をユーザーに知らせる。da Vinci Surgical Systemでは、EndoWristが切断しようとする部位に接触した場合など、接触していることを外科医に知らせるために触覚によるフィードバックを用いる。触覚によるフィードバックは、例えば騒音の大きい場所で音声によるフィードバックを補うなど、ほかの手法の欠点をカバーすることができる。

 また、触覚によるフィードバックは、ユーザーがシステムに対する入力を視覚的に確認する手間を省き、視覚をほかの部分に集中させることを可能にして、視覚の負荷を軽減する役割も果たす。例えば、iPhoneのキーパッドには、どのキーがいつ押されたかを触覚でユーザーに知らせる機能はない。このため、ユーザーはシステムが各キー入力を処理していることを視覚的に確認しなければならない。これに対して、米Immersion社は、携帯機器などの入力操作を触覚で確認できる方法を提供している。それは入力操作を行ってから5ms以内に機器の振動アクチュエータを制御するための正確なパルスを発生させることで可能としている。

 ほかのすべての補正手法で誤入力を取り除けない場合には、与えられた入力の不確実性を解決するために、コンテキストに関連する応答を利用することができる。一般的な応答としては、ユーザーに対して警告を発し、もう一度入力するように促すことである。しかし、システムが何を要求しているのかに関して追加情報を示すことなく、ただ再入力を要求するだけではユーザーをイライラさせてしまう恐れがある。システムは入力に対してできる限りの予測を示し、ユーザーにその予測が正しいかどうかを確認してもらうほうがよい。この場合でも、2回入力しても予測が改善されなかったり、システムが何度も入力を確認してきたりすれば、ユーザーはいらついてしまうかもしれない。このような応答を最小限に抑えるための方法としては、システムがユーザーの動きを分析し、統計モデルを作成して、ユーザーの要求の頻度によって予測をより適切に処理することが考えられる。

 米Texas Instruments社の主席フェローであるGene Frantz氏は、「ネットワークによってシステムを接続できることを考えれば、システムの規模は拡張可能だ」と考える。最新の機器においては、これは非常に重要な点である。iPhone、Wii、Surfaceがほかのシステムとワイヤレス通信で接続されることを考えてみる。これらの機器とほかの外部システムとをいかに関連付けるかは、ユーザーの要求にどれだけうまく対応できるかにかかわる。Frantz氏は「ジェスチャインターフェースが確立されつつある中、われわれは単一の機器との対話の中で学んできた知識を、複数の機器がユーザーやほかの機器とシームレスに対話するという場面に適用していきたい」とますます期待を高めている。ユーザーの意図を適切に予測し、不確実性を取り除いて、接続されたネットワークの中でほかのシステムとシームレスに結合できるシステムは、きっとジェスチャインターフェースを次の段階へと導いていくと考えられる。

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