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» 2008年05月01日 00時00分 公開

設計の“肝”はカラーセンサー:高輝度LEDシステムの色精度を高める (2/3)

[Triton Hurd(米Cypress Semiconductor社),EDN]

色の作り方

 照明システムの設計者が考えなければならないことの1つは、どのような色を作る必要があるのかということである。信号機の例と同様に厳密さが求められるわけでないなら、目的の色に波長が近く、かつ十分な光束を持つ色のLEDを選択し、それを使用して設計するだけで済む。これに対し、非常に特殊な色を作りたい場合には、混色方式(2色以上のLEDによって光を混合する方式)を利用しなければならないことが少なくない。例えば必要な色が基本的には「赤」としか表現のしようがない単純なものだったとする。しかし、それが実際には企業が自社のコーポレートカラーとして用いているものであれば状況は複雑になる。その赤を実現するウォールウォッシャ照明でディスプレイを照らしたいといったケースでは、単に赤色LEDを使用するのではなく、混色方式を採用すべきだ。その理由は単純である。LEDの製造時には必ずばらつきが生じ、LEDベンダーは、すべての製品が全温度範囲にわたって同じ赤色を出力することを保証できないからである。

 LEDの波長には、最大で10nm程度の製造ばらつきが生じ得る。そこで、LEDベンダーはばらつきの範囲を狭めるための対策として、主波長の違いによるランク付けを行って製品を出荷している。しかし、波長のわずかなばらつきは、出力される色に大きく影響を及ぼす可能性がある。そうしたことも理由となり、ベンダーによるランク分けは精度が必要とされる用途に対しては十分でない場合が多い。

 それに対し、複数のLEDを使用する混色方式を用い、その割合を調整することによってばらつきを補償することができれば、目的の色を正確に作り出すことが可能である。作り出す色が単純なものであるか特殊なものであるかにかかわらず、色を作る最善の方法は複数のLEDを使用することなのだ。

図1 ニュートラルホワイトと青のLEDによる色再現域  図1 ニュートラルホワイトと青のLEDによる色再現域  
図2 赤、緑、青のLEDによる色再現域 図2 赤、緑、青のLEDによる色再現域 

 混色方式を採用することにしたとして、次に問題となるのは、どの色のLEDをいくつ使用すればよいのかということである。それは、どのような色を作りたいのかによって決まる。例えばクールホワイトを作りたい場合、おそらくニュートラルホワイトと青を選べば目的の色が得られる。図1に示す例のように、それら2色のLEDの出力色をCIE(Commission Internationale de L'eclairage:国際照明委員会)のカラーチャート上にプロットし、その間に線を引く。それにより、その2色のLEDによって作ることが可能なすべての色(色再現域、色空間)がわかる。言い換えれば、その線上に求める色があれば、それら2つのLEDで事足りることになる。ただし、先述したように、同じランクのLEDでも色出力にはばらつきがあることを考慮し、両方のLEDに対するワーストケース解析を行うことを忘れてはならない。

 求める色がその線上にない場合、このやり方では目的の色が得られないことになる。そうすると、今度は3色のLEDを用いる方法を検討する必要がある。あるいは、ユーザーの設定によって数百、数千の色を作り出すことが可能な舞台照明装置を設計しなければならないのであれば、赤、緑、青のLED(場合によっては琥珀色も)が必要になる。一般に、この3色のLEDを用いた混色方式を採用すれば、最大限の色再現域が得られる(図2)。

 LEDを選択したら、続いては目的の色を得るための各LEDの輝度比を割り出す必要がある。例えば、赤、緑、青を同じ輝度にすると白が得られる。しかし、3色のLEDをすべて最大輝度で点灯したとしても、おそらく厳密な意味での白は得られない。その理由は、主波長のばらつきがあることや、いずれかのLEDの輝度がほかよりも高く、それが支配的になるといったことケースがあることだ。もちろん、データシートに記載された主波長と最大光束に基づいて必要な混合比を求める計算を行うわけだが、この計算だけでは正確な精度は得られない。繰り返しになるが、LEDのランク付けには誤差範囲があるからだ。

 この誤差をなくす方法は、以下の2つしかない。

  • 独自のアルゴリズム、またはLEDを実装する基板ごとにルックアップテーブルを用意して、すべての機器に対し、実装されたLEDに対する校正を行う
  • カラーセンサーを導入し、実際の出力色を測定して誤差がなくなるように調整する

 後者が、本稿のテーマであるカラーセンサーを用いる方法だ。以下、これを実現する上で注意が必要となる事柄を整理する。

カラーセンサー利用時の注意点

 上述したとおり、カラーセンサーを利用すれば、色精度の問題を解決できる。LEDの色を実際に測定し、その値をフィードバックして色の補正を行う系を回路に設けるのだ。しかし、実際にこの方法を適用するのには大きな困難が伴う。

 特に大きな問題は、カラーセンサーを配置する位置と、システム全体の機械的構成の2つである。また、センサーの選択とそれに基づくフィードバックアルゴリズムの開発にもかなりの労力を要する。さらに、設計者にとっての頭痛の種となり得る“落とし穴”もある。以下では、まず2つの大きな問題について考える。

■センサーの配置位置

 センサーの配置については、いくつかの留意点がある。まず問題になるのは、カラーセンサーはLEDからの直接光を扱うことはできないという事実だ。高輝度LEDから出力される光は非常に強力で、最大輝度レベルではセンサーが飽和してしまい、測定誤差が生じる。この誤差の程度は製品によって異なるのだが、本稿執筆時点では、10米ドル以下の価格帯のカラーセンサーでLEDからの直接光を扱えるものはまだ存在しない。

 この事実から、LEDのほうに直接向けてセンサーを配置する方法は選択肢とはならない。最善の策は、直接光よりはるかに弱い反射光がセンサーに当たるように配置することである。また、実際に人の目に映る色をセンサーが正確にとらえられるようにすることに目標を置くべきだ。例えば、劇場の照明設備の場合であれば、観客が実際に目にする(直接光よりも弱い)光をセンサーでとらえる必要がある。また、センサーによってとらえる光は、個々のLEDの直接光を含まず完全に拡散し、かつ反射によって変化が生じていない状態でなければならない。

図3 フラッドライトの設計例 図3 フラッドライトの設計例 

■機械的構成

 フラッドライトの場合、機械的構造と基板レイアウトについていくつかの選択肢があるが、いずれにしても、図3(a)に示すように、LEDアレイの中心にセンサーを配置し、その周囲をコリメータで囲む形となる。この場合のコリメータの役割は、LEDからの強い光がセンサーに直接当たるのを防ぐことだ。

 ここでの目的は、強度の弱い拡散光をセンサーで測定することである。そのためには、光の一部をセンサーに向けて反射させる手段が必要となる。1つの方法として、図3(b)に示すように、LEDの光を部分的に反射するレンズを照明器具の最上部に追加し、それによって光のごく一部のみを偏向させ、センサーに向かわせることが考えられる。この方法のメリットは、レンズの選択によって光線の幅を制御することが可能な点である。一方、欠点としては、レンズによってシステムとしての輝度が低下することが挙げられる。またそれよりも重要なのは、損失が極めて少ない高品質のレンズは高価であるため、システムのコストが上昇することだ。とはいえ、コスト面さえ問題にならなければ、これが最も理想的な設計だと言える。

 レンズを追加できない場合には、光が逃げられるように開口部を設けた筒で全体を覆い、一部の光がセンサーに向かって反射するよう筒を湾曲させる方法もある(図3(c))。この方法は、レンズを追加するよりも安価に実現できるが、開口部が露出しているため、弱い光ほど周辺光の干渉の影響を受けやすくなるという欠点がある。

 上述した2つの方法のうちどちらを選択するかは、許容可能なコスト、性能などの要件によって決まる。

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