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デジタル電圧計用の絶縁型フライバック電源Design Ideas

» 2008年06月01日 00時00分 公開
[Richard Dunipace(米Fairchild Semiconductor社),EDN]

 デジタル電圧計(DVM:digital voltmeter)の機能を低コストのモジュールとして構成できれば非常に便利である。それを利用すれば、計測系を構成するのにかかる費用や設計時間を大幅に削減できるからだ。

 しかし、そうしたDVMモジュールの設計には多くの課題がある。例えば、絶縁型のモジュールとしなければならないことも課題の1つであり、その設計には多大な時間を要するし、低コスト化の実現は困難になる。また、多くの用途では1〜4セルの電池をDVMモジュール用の電源として使用したいという要求がある。その一方で、DVMモジュールを動作させるための電源電圧としては9V程度が必要となる。電池が完全に充電された状態から完全に放電する直前まで使用されるとした場合、電池からの電圧は0.7V〜6Vとなるが、この電圧を受けて、約9Vを生成する必要があるということだ。このように、広い範囲で変化する入力電圧を基に、安定した出力電圧を得なければならないのである。

 本稿で紹介するDVMモジュール用の電源回路は、部品点数が少なく、また汎用の部品で構成できる(図1)。この回路は、ブロッキング発振回路を利用して構成しており、オン時間が固定で、オフ時間が変化するフライバック式コンバータとして働く。オフ時間はトランスを充電する時間と負荷に電力を供給する時間の割合に対応して変化する。ブロッキング発振回路はnpnトランジスタQ2、トランスT1、コンデンサC2から構成される。pnpトランジスタQ1のコンダクタンスとC2の値により、発振時におけるオフ期間が決まる。トランスのフライバック時(オフ期間にエネルギを伝送)には、トランス出力がダイオードD2を経由してコンデンサC3に入力される。R4とR5によって分圧された電圧が2.5Vを超えると、エラーアンプ(フォトカプラー)IC1に流れる電流が増大し、トランジスタQ1のコンダクタンスが減少する。これに伴ってオフ期間が長くなる。

図1 DVMモジュール用の絶縁型フライバック電源 図1 DVMモジュール用の絶縁型フライバック電源 この電源回路により、0.7V〜15Vの範囲の入力電圧からDVMモジュールの動作に必要な電源電圧を生成できる。

 なお、図1の回路において、シリコントランジスタをゲルマニウムトランジスタに変更すると、0.25Vという低い入力電圧でも動作させることができる。ただし、ゲルマニウムトランジスタは高価なので、低電圧動作が不可欠な用途だけに適用すべきである。

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電源 | 回路 | トランジスタ | コンデンサ


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