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» 2008年11月01日 00時00分 公開

HDMI/DVIへの変換の仕組みはどうあるべきなのか:DisplayPort活用の肝は「ブリッジ機能」の実現 (3/3)

[Abdullah Raouf(米Pericom Semiconductor社),EDN]
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ESDからの保護

 ディスプレイインターフェース回路を静電気放電(ESD)から保護するのは重要なことである。例えば、HDMI規格のRev.1.3では、コネクタに対して、8kV(接触モード)のESDに対する保護を求めている。

 45nmプロセスにおいて、製造コストをそれほど増やさずに、8kVに対応可能なESD保護回路を実装できるか否かは不明である。いずれにしても、グラフィックスIC(チップセット)の内部にESD保護回路を搭載するのは現実的ではない。ESD保護回路が壊れてしまうと、グラフィックスICがESD耐性を失うことになり、パソコンシステム全体の故障につながりかねないからだ。故障したICを交換するのがコストの面から合理的でない場合には、システム全体を廃棄することになってしまう。そのため、ESD保護回路は、独立した1個のデバイスとして実装することが多い。これであれば、故障したESD保護デバイスだけを交換すれば済むので経済的である。

 ただし、電子回路においてESD保護回路のような受動部品を付加することは、システムコストを増やすだけでなく、不要な容量を回路に付加したり、望ましくない歪(ひずみ)を信号に与えたりすることにもつながる。この問題は、ESD保護デバイスとブリッジ回路を1チップに集積することで回避できる。ESD保護回路は0.25μmプロセスであれば実績がある。

 また、ESD保護回路とブリッジ回路を1チップに集積した場合の最大のメリットは、信号品質の劣化を防げる点にある。ESD保護回路を個別に実装すると、信号に対するプリエンファシスの効果を薄めてしまうからだ。ESD保護回路とブリッジ回路を1チップに集積すれば、この問題を回避できる。また損失やジッターなどを減らすことも可能だ。

 この方法をとった場合、ESD保護回路が故障したときには、システム全体ではなく、ブリッジICだけが故障したことになる。もし将来的にブリッジ機能が不要になったなら、ブリッジICをほかのESD保護デバイスに交換してシステムコストを低減することもできる。

DisplayPortの可能性

 DisplayPortがHDMIやDVIなどを置き換えるかどうかは、まだ不明である。それでもDisplayPortは着実に、パソコン市場に浸透しつつある。新しいアプリケーションをサポートできる拡張性を有する、そして内部バスとしてチップ間通信を担えるという特徴が、パソコン以外の市場を切り開くだろう。例えばデジタルテレビ受像機、メディアゲートウエイ、DVDプレーヤ、家庭用ネットワーク機器、投射型ディスプレイ、薄型ディスプレイなどが候補として考えられる。

 DisplayPortは多くの企業からの支持を得ている。Analogix Semiconductor社、Dell社、Genesis Microchip社、HP社、Lenovo社、Luxtera社、Molex社、Parade Technologies社、Pericom社、Quantum Data社、Tyco Electronics社の各米国企業、ホシデン、オランダRoyal Philips Electronics社、韓国Samsung Electronics社らがDisplayPortを支持している。

 今後しばらくは、DisplayPortとHDMI、DVIが共存していくだろう。この状況はしばらく続くかもしれないし、どれか1つが他者を置き換えていくかもしれない。それぞれの規格の背景にある技術と制約を理解することにより、効率の良いブリッジ機能を開発するとともに、最大の柔軟性を最小のコストでユーザーに提供できるようになる。

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