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» 2009年02月01日 00時00分 公開

共振フォワード型コンバータの魅力を探る (3/3)

[Brian Thomas(英CamSemi社),EDN]
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少ないEMIノイズ

 RDFCでは、スイッチング波形が正弦波状であるため、高速なスイッチングに伴う過渡電流が少ない。そのため、電磁放射が最小限に抑えられるというメリットがある。また、RDFCでは、安定化されていない入力電圧に共振波形が重ね合わせられるので、共振波形の上下動作が引き起こされ、結果としてオフ時間が変動する。デューティサイクルは固定されているので、オフ時間の変動はスイッチング周波数のディザリングを生み出し、EMI特性が改善する。こうした特徴により、RDFCではEMIフィルタを使わなくても、同様の電力レベルのフライバックコンバータより15dB〜20dB少ない電磁放射線しか放出しない。さらに、ほとんどのRDFCは、1次側、2次側回路の間にコンデンサを必要とせず、トランスの2次側における漏れ電流とハムが最小化される。

 どのような方式のスイッチング電源でも、トランスの漏れインダクタンスにより、1次側スイッチが動作する間にいくらかのエネルギーが蓄えられる。典型的なフライバックコンバータの場合、効率は悪化するが、スナバー回路によってこれらのエネルギーを損失として消失させる。

 周波数ディザリングによる効果はあるものの、トランスには漏れインダクタンスが存在するので、RDFCでも電磁放射線は発生する。RDFCでは、1次側スイッチがオフになると、エネルギーは共振コンデンサと出力コンデンサに移動する。このことは、1次側スイッチがターンオフする際に、コレクタ電圧におけるステップ状の小さな電圧の上昇を引き起こす。この電圧の上昇は、典型的なフライバックコンバータにおいては、ターンオフ電圧の遷移よりはるかに低速で起きる。この現象は、特にAMラジオのようにノイズの影響を受けやすいアプリケーションでは敬遠される電磁放射線を生み出す。とはいえ、単純なトランス構造を成す1次側と2次側のコイルの間に、シールドレイヤーを追加するといったことで、こうしたノイズは削減可能である。

具体的な設計例

図3 RDFCの回路例 図3 RDFCの回路例 出力6WのオフラインRDFCコンバータを使うことにより、最小の部品数でES2の要求に対応できる。

 最後に、典型的なコードレス電話機の電源アダプタの設計例を示す。これを通して、RDFCでは必要な部品数が非常に少なく抑えられることを示したい。

 図3に示したのが、その回路図である。この設計例は、公称入力電圧が110VAC(60Hz)、出力電圧が9VDC(6W時)、スイッチング周波数が50kHz、ライン周波数のリップル電圧が500mV、スイッチング周波数のリップル電圧が100mVというパラメータに対応したものである。この設計例では、RDFCコントローラICとしてCamSemi社の「C2471」を使用している。

表2 FCCPart68に対する評価結果 表2 FCCPart68に対する評価結果 

 図のように、RDFCは典型的なフライバックコンバータで必要となるフォトカプラや基準電圧源といった2次側フィードバック回路を必要としない。また、より一般的なスイッチング方式に比べて、RDFCにおけるオン電流の波形は出力電流のRMS値を下げ、出力コンデンサによって対処しなければならないリップル電流量を抑えることができる。基本構成はそのままで、110VAC/60Hzと230VAC/50Hzの電圧、1W〜60Wの電力出力を扱うことが可能だ。また、基本スイッチング周波数である50kHzの部分も含めて、コードレス電話機用の規定であるFCC Part 68に対し、ほぼ9dBのマージンが得られるレベルにEMIノイズを抑えられる(表2)。

 図4に示したのは、EN 55022に定められている伝導放射要求に対する図3の回路の評価結果である。この結果からも、RDFCの有用性が見てとれる。一方、図5に示したのは出力電力に対する効率の評価結果である。動作範囲全体で、ES2に規定されている効率73%という値を満たしていることがわかる。平均効率は80%であり、典型的なフライバックコンバータにおける70〜75%程度の効率を上回る。

 また、無負荷時の電力消費量は150mWに抑えられる。10%の負荷条件において、最小でも55%の効率を達成するので、RDFCは定格電力レベルのかなり下で動作するコードレス電話機などに適した理想的な方式だと言える。

図4 EN55022に対する評価結果 図4 EN55022に対する評価結果
図5 図3の回路の効率 図5 図3の回路の効率
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