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» 2009年02月04日 00時00分 公開

イベントレポート〜カーエレ JAPANレポート〜:トヨタが明かす、ハイブリッド車用電池の開発動向 (2/2)

[上口翔子,@IT MONOist]
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ハリアー(ハイブリッド)用電池

 2004年に登場したハリアーハイブリッド車は、圧倒的な動力性能と、コンパクトカー並みの低燃費を両立するSUV(Sport Utility Vehicle)をコンセプトに開発された。よって車両のユーティリティとして車下スペースを大きく取るために角型金属電装のニッケル水素電池が採用されている。

 開発方針は、車両のスペースを損なうことなくシート下に搭載するために、“セルの小型化”“出力向上”“冷却性能向上”の3点を柱にしているという。セルケースに金属ケースを採用することでセルサイズを低減し、セル間の接続構造も見直した。また、極板の接続点を中央部に移すことで、セル上面のスペースを減らし、セルの高さを低減した。

 冷却性能は、金属ケースを採用することで、樹脂ケースであるプリウスの電池に対しおよそ40%向上した。電池パックの小型化にも大きく貢献したという。

 電池モジュールは、セルを8セル直列接続し、レーザー溶接で接合することで構成している。絶縁性を確保するために、モジュール全体に絶縁シートも追加している。また、金属を採用することで、重量に大きな変化はないが、セルを小型化し、体積当たりの出力密度も30%以上向上した。2003年のプリウスと比較すると、高さを約20%低減したという。

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 組電池の構成は、電池モジュールを樹脂プレートで挟み込み、絶縁を確保しながら拘束するという方法を採用した。電池パックは、12モジュールの組電池と6モジュールの組電池の2種類に分割して搭載している。

クラウン(マイルドハイブリッド)用電池

 クラウンのマイルドハイブリッド車では、36Vと12Vの鉛電池を採用することで、42Vの電源システムとしている。シンプルな機構の簡易型ハイブリッドシステムであること、42V系電源を採用しているということ、そしてアイドリングストップ時にも、エアコンをバッテリーで駆動できることが特徴だという。

 36Vの電池の役割は主に3つで、アイドリング停止中の補機電源の駆動、エンジンの再始動用の電源、減速エネルギーの回生用の電源。これらを分担して行っている。長寿命を確保するために極板の高圧迫化構造を採用し、また、受け入れ性能の向上のため、カーボン系の添加材を採用している。従来の補給用の鉛電池が満充電状態で使用されているのとは異なり、回線入力のために中間の充電を維持した仕様となっている。

 12Vの電池は初回エンジン始動用電源、そして駐車時の作動電源として使用されている。

ヴィッツ(アイドリングストップ)用電池

 アイドリングストップシステムとは、ドライバーが特別な操作をしなくてもアイドリングを停止するというフルオートマチックのシステムである。約9%の燃費向上効果と、アイドリングストップ用補助電源としてリチウムイオン2次電池を採用していることが特徴だ。リチウムイオン2次電池は、アイドリングストップ中に空調、ランプなどに電力を供給することと、アイドリングストップ後の再動にスタータが駆動する電源として使用している。

プラグインハイブリッドをはじめとした、今後の取り組み

 近年、業界各社で開発が活発化しているのがプラグインハイブリッドシステムである。プラグインハイブリッドシステムは、停車中にガソリンスタンドなどの電源からバッテリーを充電し、市外走行のようなショートトリップでは、電気自動車としてEV走行、長距離や高速走行では、通常の(ハイブリッド車)走行をする。

 稲津氏は、「プラグインハイブリッドは、電気自動車の現実的な実現法として期待されている」とし、そのメリットとして原子力や水力のCO2フリー電力を使用できることを挙げた。各国の発電事情により状況は異なるが、CO2の低減効果はハイブリッドよりもさらに大きく、原子力発電の割合が高いフランスでは、大変大きな効果が得られるという。また、ドライバーにとっても、料金設定の低い夜間電力などを使用できるというメリットがあり、燃料費の低減も期待できる。

photo 画像5 トヨタ 第2技術開発本部 HV電池ユニット開発部長 稲津 雅弘氏

 トヨタでは、現在プラグインハイブリッドの効果を検証することで、従来のプリウスをベースとしたプラグインハイブリッド車のテストを実施。現在では量産のプリウスの電池パックを2個搭載し、電池容量を2倍、約13kmのEV走行距離を得ているという。

 今後の注力分野としては、「量産のプラグインハイブリッドを実現するには、さらなる性能向上、特にエネルギー(電池)の性能向上、小型化を達成することが重要です」と述べ、プラグインハイブリッド車に対応した小型軽量・高出力の電池開発を行っていくとした。

 また、電気自動車を加えた同社の今後のアプローチについては、「ハイブリッド車と電気自動車では、追求している部分が異なりますので、プラグインハイブリッド車は、中間をという、位置付けになっています」と述べ、「どちらにしても、それぞれの用途に応じてバッテリーの性能を高めていくということが、今後の開発研究の主眼になっていくと考えています」とした。


 トヨタは、初代プリウスの導入以来、10年間で累計100万台以上のハイブリッド車販売実績がある。稲津氏は講演の最後に「今後、2010年には年間100万台を目標に開発を進め、環境問題の解決に貢献する究極のエコカー開発を目指します」と抱負を述べ、講演を締めくくった。

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