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» 2009年09月16日 00時00分 公開

モバイル技術の基礎講座:Bluetoothとの連携も――さらなる進化を見せるFeliCa技術 (2/2)

[上口翔子,@IT MONOist]
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FeliCaの特長

 FeliCaの特長および上記2方式(TypeA/TypeB)と比べてのFeliCaの優位点は、まず「通信速度が速いこと」、そして「柔軟性の高いアプリケーションができること」「セキュリティレベルが高いこと」の3点。

通信速度が速い

 FeliCaは【検出】【認証】【データ読み書き】の3ステップを0.1秒以内に行う。改札機やレジの前にあるリーダー/ライターは常に電波を発信(磁界を発生)しており、その中には信号情報が含まれている。カード(モバイルFeliCaの場合は携帯電話)がリーダー/ライターに近づくとリーダー/ライターはカードによる電磁波の変化を検知し、カードを【検出】。その後暗号を用いた【認証】を行う。相互認証が完了した後、【データの読み書き】が開始される。

photo 画像3 FeliCaの高速処理 運賃の引き算や経歴の記入をわずか0.1秒で行う

マルチアプリケーションに対応

 FeliCaは、1枚のカードで運賃情報や乗車経歴など複数の情報を管理できる。カード内にはエリアと呼ばれる仮想的な階層構造が用意してあり、各階層ごとに鍵を設定して管理することができる。データの読み書きを行う前の認証の際にこの鍵を複数組み合わせて使用することにより、アクセス先の「エリア」と実行すべき処理「サービス」を複数指定することも可能だ。

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エリアとサービスの階層構造があるからこそ、例えばEdyの残高履歴やSuicaの利用履歴へ簡単にアクセスできる。1つの階層に対して単に読み書きするだけではなく、引き算をして読む/引き算したものを元に戻すというような処理を実現することもできるんだ。


photo 画像4 FeliCaのファイルシステム ICチップが持つデータの種類やアクセス権限を定義している

高セキュリティ

 金銭情報を取り扱うFeliCaは、仕組みそのものがセキュリティの高いものでなければならない。よってハードウェア面でICチップそのものに独自の防御策を持っているほか、ソフトウェア面でも暗号通信技術を採用している。具体的には、認証時にリーダー/ライターは相互認証の際に作成するセッションキー(ランダムな数値)に暗号を施し、データを送ってカード側も発行した暗号を処理できることを確認する。カード側もデータを送信する際に暗号化して返し、両者は暗号を復号化して元のデータを導き出すことで、双方が正当であることを確認する。

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毎回異なるセッションキーを発行しているからこそ、成りすましや通信時のハッキングがもし行われたとしても大丈夫なんだね。


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って夏子ちゃん聞いてる!? さっきから黙ってるけど、もしかして付いてこれなかった? ゴメンゴメン。


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……カード偽装が行われる現場のシチュエーションを考えていただけだけど。


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カードの製造会社が出荷時にカードの鍵情報などを盗まれたりする危険はないのかな?


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カード出荷時にはさっき説明した暗号とは別に「出荷鍵」というのが設定してあるんだ。だからカード輸送から発行までの安全も確保してある。


5周年のおサイフケータイに新機能が登場

 今年で5周年を迎えたおサイフケータイ。モバイルFeliCa機能を搭載した携帯電話は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク以外に、今年から、ウィルコムのサービスにも対応している。2009年7月末で約6000万台の携帯電話がおサイフケータイ対応機種として市場に出ており、それは日本の携帯電話が1億台といわれるうちの約半分がおサイフケータイであることを意味している。

 おサイフケータイには第1世代と第2世代のICチップがあり、第2世代のICチップではリーダー/ライター機能も備えている。携帯電話をリーダー/ライターとして使用する場合には、手持ちにある別のカードを携帯電話にかざすことにより利用できる。

広がるFeliCa技術の導入範囲

 FeliCaは2004年にパーソナルコンピューターVAIOに搭載されて以来、順調にPC搭載機種を増やしている。2008年度末にはソニー以外の製品も含めて搭載機種は804万台に上る。また、2009年4月にはTVリモコンへの搭載も始まった。

 さらに今年の7月にはJR東日本がSuicaインターネットサービスを発表。それにより、Suicaの電子マネーを利用したインターネットショッピング支払や入金(チャージ)を、PCを介して行うことが可能となった。

photophoto 画像5 FeliCa読み取り機能を搭載したソニー「BRAVIA」のリモコン(2009年4月に発売した新モデル)

これまでのFeliCaとは違う、新しい使い方も

photo 画像6 CROSS YOU機能を利用している様子(2009年夏に発売した新モデル)

 機器間のワイヤレス通信を簡単に利用するためのプラットフォームにFeliCaを利用するという新提案も登場した。

 2009年のNTTドコモ夏モデルの機種では、2台の携帯電話間でBluetooth通信を利用した対戦ゲームや、携帯電話で撮影した画像の加工(デコレーション)を2台の携帯電話で同時編集できるといった機能が搭載されたが、これらには「CROSS YOU(クロスユー)」と呼ばれるFeliCaを利用したプラットフォームが使われている。

 一度、2つの携帯電話を近づける(タッチする)だけでBluetooth接続ができ、その後は離しても2台で連動して操作できるというもの。FeliCaの通信機能で瞬時に情報交換を行うことで、従来わずらわしかった接続設定や機器間の認証処理を自動化し、アプリケーションの自動起動も対応可能だ。


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これからは例えば歩数計とか、携帯電話以外のガジェットにもFeliCaが搭載されたり、いろいろな応用がありそうだね。



特別協力

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ソニー B2Bソリューション事業本部

FeliCaデバイス事業部 営業部

竹澤 正行 氏


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