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» 2012年02月21日 00時00分 公開

ECM

[PR/EDN Japan]
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ECM

 ECMとは、エミュレーテッド・カレント・モード(Emulated Current Mode)の頭文字を取った言葉で、スイッチング・レギュレータ(DC-DCコンバータ)の制御方式の一つ。スイッチング・レギュレータの制御方式には、電圧モード制御方式や電流モード制御方式、ヒステリシス制御方式(リップル制御方式を含む)などがある。ECMは、この中で主流となっている制御方式である電流モード制御方式の欠点を解決したもの。テキサス・インスツルメンツが開発した独自方式である。

出力電圧を低くできない

photo 図1 スパイク状の電流が発生する
スイッチング素子Q1がオンに切り替わると、ダイオードD1に逆リカバリ電流が発生する。これがスパイク状の電流となる。帰還信号に使うと誤動作の原因となるため、ブランキング期間を設けている。

 電流モード制御方式は、位相補償回路の設計が非常に簡単なこと、出力電圧を一定に保つフィードバック・ループの安定性が高いこと、入力電圧変動特性に優れることなどのメリットを備える。このため、さまざま存在する制御方式の中で主流の座をつかんでいる。

 しかし、この方式にも欠点がある。スイッチング制御時のデューティ比を一定値以上に小さくできないというものだ。このため、出力電圧を低くしようにも下げられなかったり、必要な出力電圧を得るために複数のDC-DC変換が必要となり実装面積が大きくなったりする問題が発生していた。

 デューティ比を小さくできない理由は、制御信号に現れるスパイク状の電流にある。一般に、電流モード制御方式では、出力電圧を一定に保つフィードバック・ループの帰還信号に、出力電圧とスイッチング素子Q1に流れる電流の二つを利用する。問題になるのは、Q1に流れる電流である。Q1がオフからオンに変わると、ダイオードD1に逆リカバリ電流が発生する。このため、Q1に流れる電流にスパイク状の成分が載ってしまうのだ(図1)。

 これを帰還信号に利用すると誤動作の原因となる。そこで通常は、スパイク状の電流が存在する部分を検出しないように、ブランキング期間(リーディングエッジ・ブランキング)を設ける。この期間は、決して短くない。このため、スイッチング制御時のデューティ比を小さくできない。例えば、24Vの入力電圧を1.2Vの出力電圧に変換する場合は、デューティ比を1/20に設定する必要がある。しかし、既存の電流モード制御方式は、ブランキング期間が存在するため対応できない。

電流信号を模倣する

 ECMは、電流モード制御方式が抱える、こうした欠点を解決するために開発された制御方式である。スパイク状の電流に基づくブランキング期間の問題は、スイッチング素子Q1に流れる電流を実際に検出せずに、ほかの場所を流れる電流を使ってエミュレートする(模倣する)ことで解決した。具体的には、フリーホイール・ダイオード(転流ダイオード)に流れる電流を使う。この電流には、スパイク状の成分が現れない。ブランキング期間は不要である。このため、デューティ比を小さな値に設定できる。24Vの入力から1.2Vの出力を得ることも可能だ。

 ECM方式を採用するスイッチング・レギュレータIC(DC-DCコンバータIC)としては、「LM557x」と「LM2557x」がある。LM557xは、入力電圧範囲が6〜75Vで、LM2557xは6〜42Vである。スイッチング素子は集積しており、最大出力電流が0.5A品と1.5A品、3A品を用意している。スイッチング周波数は、LM557x が50kHz〜500kHz、LM2557x が50kHz〜1MHzである。入力電圧が24Vやそれ以上の耐圧が必要なFA機器やアミューズメント機器などに最適です。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日

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