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高耐圧パワーデバイスの測定技術最新ノウハウを徹底解説!(5/5 ページ)

» 2010年05月01日 00時00分 公開
[柿谷 寿生/永井 好/得納 幸史(アジレント・テクノロジー・インターナショナル),EDN]
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測定の具体例

 最後に、SMUを用いてパワーデバイスを測定した事例をいくつか紹介する。

 図23は、nチャンネルMOSFETのオフ領域における測定結果である。SMUを搭載したB1505Aを用いて、耐圧とリーク電流に注目した測定を行っている。ゲートに0Vを印加、ドレインには電圧源モードで10Vから正の方向に電圧スイープで印加し、1mAを電流コンプライアンスとして、停止するよう設定している。青色で示されたドレインの電圧と電流から、リーク電流が1nA〜10nA程度であり、1600V程度でブレークダウンすることがわかる。一方、橙色で示されているのが、同時にプロットされたゲートのリーク電流である。ドレインのリーク電流と比べて3ケタほど小さい1pA〜10pA程度となっている。なお、ゲートのリーク電流の測定値は、SMUに流れ込む電流なので本来は負の値をとるが、対数軸を用いるために絶対値で表示している。

図23 nチャンネルMOSFETのオフ領域における測定結果 図23 nチャンネルMOSFETのオフ領域における測定結果 三洋半導体の「2SK3745」を使用した。
図24 IGBTのオン領域における測定結果 図24 IGBTのオン領域における測定結果 米InternationalRectifer社の「IRG4BC30W」を使用した。
図25 SiCダイオードの逆方向特性 図25 SiCダイオードの逆方向特性 
図26 SiCダイオードの順方向特性 図26 SiCダイオードの順方向特性 

 IGBTのオン領域での例として、SMUを電流源モードとした測定結果を図24に示す。コレクタを電流源モードで0Aから40Aまでスイープし、電圧コンプライアンスを10Vとしている。ゲート電圧は8Vから0.4V刻みとした。

 次に、ワイドバンドギャップ半導体の一種であるSiCベースのダイオードを測定してみた。リーク電流と耐圧、すなわちダイオードの逆方向特性を図25に示す。0Vからスイープし、500μAの電流コンプライアンスで、スイープを終了するようにしている。通常のシリコンベースのパワーデバイスの評価であれば、サブμA程度が評価の対象となることが多いが、SiCという新しい素材を評価するために、対数軸で表示することにより、測定した結果を一望できるようにしている。

 同じSiCダイオードの順方向特性の測定結果を図26に示す。0Vから5Vまでの印加電圧で、30Aの電流コンプライアンスで測定を停止するようにしている。測定時のパルス幅は、青色のプロットは50μs、緑色のプロットは300μs、赤色のプロットは1msと変更している。つまり、パルス幅が大きくなるに従って、電流が流れにくくなっていることがわかる。これは熱による影響によって、ドリフト領域の抵抗値が上昇した結果だと推測される。

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