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» 2011年04月01日 00時02分 公開

システム性能、信頼性は何で決まるのか?:電力線通信の要点 (2/4)

[Ashish Garg/Angad Singh Gill (米Cypress Semiconductor社),EDN]

伝送路内のノイズ

 PLCの送信信号におけるシグナルインテグリティ(信号品質)は、伝送路内で発生するノイズの大きさに依存する。当然、ノイズが大きいほど信号は劣化することになる。

 伝送路内で発生するノイズは、インパルスノイズと連続的ノイズの2つに分けて考えることができる。


図2 PLCのインパルスノイズ 図2 PLCのインパルスノイズ 
図3 PLCの連続的ノイズ 図3 PLCの連続的ノイズ 

 まず、インパルスノイズは、爆発的/集中的に発生する(図2)。また、その発生を予測することが難しい。例えば、台所でミキサーの電源をオンにしたときなどに発生することがある。インパルスノイズのような予測できない大きなノイズに耐えられる機器を設計するには、データの伝送速度についての妥協が必要になるであろう。

 一方、連続的ノイズは図3に示したようなタイプのものだ。これは、インパルスノイズよりも予測が容易である。通常、連続的ノイズは、地域の電力線の敷設条件に依存して発生する。電力網の設計者は、データ伝送ではなく、電力伝送を効率的に行うために設計を行っている。このため、PLCでデータ伝送を行う際のノイズレベルについてはほとんど考慮されていない。

 電力線上で安定した速度や品質で通信を行うには、S/N比(信号対雑音比)があるレベル以上でなければならない。大きな振幅を持つ連続的ノイズがPLCで用いる周波数領域内に存在する場合、PLCの受信器に影響を及ぼさない程度にそのノイズ源との距離を離すべきだろう。または、ノイズが発生している機器の電源にブロッキングインダクタを追加することにより、受信器が必要とするS/N比が得られるレベルまでノイズを減衰させる必要がある。

 ノイズの影響を抑えるために、双方向通信による確認応答、再送信、エラー検出などの手法を利用することも可能である。1975年に開発された初期のPLC 規格であるX10では、片方向の通信しか行えなかった。これに対して、現在のPLCでは、双方向通信が可能である。双方向通信が可能であれば、受信器がデータの受信に成功した後、その旨を送信器に通知するという確認応答を行うことができる。これにより、送信器は、受信器からの確認応答を受け取らなかった場合に、是正処置を講ずることができるようになるのである。双方向通信が可能な通信システムにおいて、送信器が受信器からの確認応答を受け取らなかった場合には、信号を再送信するという仕組みにすればよい。PLC搭載機器にこのような再送信機能を組み込むことは、信頼性の高い通信を実現するための有効な手段となり得る。

 また、受信器が信号の受信に成功した場合でも、その信号にノイズによる影響がないことを確認する必要がある。これについては、受信器において巡回冗長検査(CRC)を行うことにより、信号のエラーを検出することができる。受信器がエラーを検出した場合には、送信器に対して自動的に信号を再送信するよう指示する仕組みとすればよい。

 ノイズの問題を克服するために、より多くの対策を講ずれば、その分だけ機器の信頼性は高まる。従って、ノイズ対策のために、確認応答、再送信、CRCによるエラー検出などの機能を備えた双方向通信方式を用いるPLC規格を採用することが極めて有効である。

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