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HF帯での一括読み取りが可能なRFIDが登場――「第13回自動認識総合展」から

» 2011年09月13日 18時11分 公開
[EDN]

 物流や製造の現場における製品管理などの用途で、RFID(Radio Frequency Identification)が広く用いられるようになっている。「第13回自動認識総合展」(2011年8月31日〜9月2日、東京ビッグサイト)では、複数個のRFIDタグの情報を1個のリーダー/ライターによって一括で読み取ることが可能な最新製品に関する展示に注目が集まった。

図1 「ICODE ILT」を用いた一括読み取りのデモ 図1 「ICODE ILT」を用いた一括読み取りのデモ  52枚あるトランプのカードに貼りつけたICODE ILTの情報を一括で読み取っている。

 NXPセミコンダクターズは、HF(13.56MHz)帯向けのパッシブ型RFIDタグICの新製品「ICODE ILT」を披露した。ICODE ILTは、最大70個程度のRFIDタグの一括読み取りが可能なことを特徴としている(図1)。従来品の「ICODE SLI」では、一括読み取りは数個までしかできなかった。同社によれば、「ICODE SLIと比べて、電波干渉よる影響を受けにくくするとともに、消費電力を約20%低減することで、70個もの一括読み取りが行えるようになった。また、製造プロセスを、0.35μmから0.14μmまで微細化したことにより低価格化も図っている」という。

 さらに、ICODE ILTは、HF帯向けRFIDの最新規格ISO18000-3M3に準拠している。同規格は、RFIDタグからリーダー/ライターへの通信速度が、従来規格の32倍となる848キロビット/秒に向上している。このことは、一括読み取りを行う際にも有利に働くことになる。

 NXPによれば、一括読み取りを高速に行えることから、RFIDタグICを組み込んだ製品の出荷検査にかかる時間を大幅に短縮できることが大きなメリットになるという。ほかにも、「現在、HF帯向けRFIDの主な用途は、図書館での蔵書管理などである。今後は、一括読み取りが可能な特徴を打ち出して、トレーディングカードを用いるアーケードゲームなどにも市場を広げていきたい」(同社)としている。

図2 富士通フロンテックの新製品を用いた棚卸のデモ 図2 富士通フロンテックの新製品を用いた棚卸のデモ  UHF帯向けのRFIDラベルタグの新製品を貼りつけた封書を100枚並べて、一括読み取りを行っている。

 富士通フロンテックは、一括読み取りが可能なUHF(840MHz〜960MHz)帯向けのRFIDラベルタグの新製品を展示した(図2)。

 この新製品は、1mm〜2mmの間隔でラベルタグが100枚ほど重なっている場合でも、リーダー/ライターによる一括読み取りが可能である。ただし、UHF帯向けのRFIDタグについては、同社の従来品や競合他社品で一括読み取りを特徴とする製品が数多く存在している。今回の新製品の最大の特徴は、10万枚注文時の単価で10円台という低価格を実現したことである。同社従来品は、10万枚注文時の単価が100円弱だった。また、従来品のサイズが79mm×11mmであるのに対して、新製品は55mm×15mmまでの小型化を実現している。

 なお、製品開発は、アンテナ設計を富士通フロンテックが、ラベル化を大日本印刷が担当した。

(朴 尚洙)

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