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» 2011年12月19日 13時22分 公開

電流測定用ロゴスキー・コイル、可変抵抗内蔵で単体校正を実現(2/3 ページ)

[Gennadiy Frolov/Oleg Grudin/Tim Warland(Microbridge Technologies),EDN]

コイル単体で組み立て後に校正可能

 リジャスタの抵抗値は、0.1%以下の誤差で高精度に調整できる。抵抗値の調整には、当社が提供する専用の調整(キャリブレーション)ツールを使う。リジャスタと調整ツールを接続し、調整ツールからリジャスタに設定用の電気信号を印加する。こうして電気的に抵抗値を調整できるため、コイルにリジャスタを取り付けて部品として完成させた後で、コイルの特性ばらつきを校正できる。これはロゴスキー・コイルを使う装置の生産性と精度の向上につながるだろう。

 なお調整後のリジャスタは、調整ツールを取り外しても、設定値を半永久的に維持する。すなわち設定した抵抗値を保持するための外部メモリーは不要で、電源を供給する必要もない。

 以下に、ロゴスキー・コイルにリジャスタを組み合わせるメリットをまとめた。

■リジャスタとロゴスキー・コイルは、いずれも受動部品である。これは、電流センサー自体の消費電力がゼロであることが望ましい用途で重要である。

■リジャスタとロゴスキー・コイルは、いずれも広帯域部品である。これは、電流の波形をモニターする用途で重要である。

■リジャスタとロゴスキー・コイルは、いずれも低価格である。

■ロゴスキー・コイルは低インピーダンス(通常は数十Ω)だが、リジャスタの抵抗値は約5kΩ以上と大きい。従ってロゴスキー・コイルにリジャスタを取り付ける際に、バッファは不要である。

■リジャスタの外形寸法は小さく、ロゴスキー・コイルに対する容積的な影響がほとんどない。

■リジャスタとロゴスキー・コイルは、いずれも温度変化の影響をほとんど受けない。例えばリジャスタの標準品は、抵抗値の温度係数(TCR)が100ppm/K以下である。

ばらつき起因の感度誤差を1桁改善

 通常ロゴスキー・コイルの感度には、製造工程でのばらつきによって、±5%程度の誤差が発生する。リジャスタを使って校正すれば、この誤差を約0.5%へと、1桁ほど改善可能だ。60Hz、1000Aの交流電流の測定に向けて設計したロゴスキー・コイルを例に挙げて説明しよう。

図1 校正用にリジャスタを組み込んだコイル 図1 校正用にリジャスタを組み込んだコイル ロゴスキー・コイルの個体ごとの感度ばらつきを、内蔵したリジャスタを使って補償することで、アンプの入力における感度が一定になるように校正する。このときリジャスタは、コイルの出力電圧を分圧してアンプに出力する分圧器の役割を果たす。

 このコイルの感度を校正前に測定したところ、30μV/A±5%だった。これを校正によって24.75μV/A±0.5%に改善することを目標とする。まずはリジャスタの品種を選ぶ。ここでは図1に示すように、1kΩの可変抵抗Rj1と、5kΩの可変抵抗Rj2の2つを内蔵した品種「MBD-472-CL」を選んだ。この品種は抵抗値の比率が1:5になっており、抵抗分圧器として使えばコイルの出力信号を5/6に分圧できるからである。30μV/Aだった初期感度を25μV/Aへと、目標感度の24.75μV/Aにかなり近い値まで調整可能だ。

 後は、各抵抗値を細かく調整することで目標感度に合わせ込めばよい。ここで選んだ品種はこの微調整に十分対応できる可変範囲を備えている。しかもこのようにリジャスタを接続しても、リジャスタの出力における感度の温度ばらつきが劣化したり、アンプの出力における感度が大きく変動したりといった影響は生じない。

校正では測定精度の確保が課題

 ロゴスキー・コイルの校正には大きく分けて2つの作業がある。1つは感度の測定で、もう1つはリジャスタの調整である。

 このうち、感度の測定における精度が課題になる。感度の誤差を目標である±0.5%に抑えるには、感度を約0.1%の高い精度で測定する必要がある。これが難しい。校正ではコイルに1000Aを流す必要はないため、仮に2A、60Hzを流すとしよう。このときコイルの出力信号は約50μVになる。従って0.1%の測定精度を確保するには、50nVと高い測定分解能が必要だ。リジャスタにも、一般的な抵抗と同様に熱雑音が存在しており、その大きさは温度や帯域幅によって異なるが、容易に数十nVに達してしまう。

 そこで実際には、熱雑音の影響を無視できる程度まで、コイルの出力信号を大きくする必要がある。コイルの出力信号は電流の周波数に比例して大きくなるため、これを利用する。例えば、校正用に流す電流の周波数を60Hzから900Hzに高めると、出力信号の大きさは15倍になる。こうすれば、0.1%の測定精度を確保するための分解能を750nVと、熱雑音に比べて十分に大きな値まで緩和できる。

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