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» 2011年12月20日 17時34分 公開

信号処理回路が差異化のポイントに:電子機器の競争力を高めるセンサー技術 (2/3)

[Steve Taranovich,EDN]

温度センサーも信号処理が必須

 温度センサーは、電子機器に利用されるセンサーの中でも最も歴史の長いものの1つである。熱電対、RTD(測温抵抗体)、サーミスタ、半導体温度センサーなどが代表的だ。表1に、各種温度センサーの測定温度範囲、精度や直線性などをまとめた。


■熱電対

表1 各種温度センサーの比較 表1 各種温度センサーの比較 

 熱電対は、測定温度範囲が−184〜2300℃と広く、丈夫で安価というメリットがある。デメリットとしては、直線性が極めて低いので、線形化するためのアルゴリズムが必要なことが挙げられる。出力電圧も比較的低いので、アナログの増幅回路と基準接点補償が必要になる(図2)。

 熱電対による温度測定では、2点間の温度差から実際の温度を導き出す。このため、熱電対の一方の電極は既知のリファレンス温度を持つ接点(通常は冷接点)に接続し、他方を温度を測定する対象との接点に接続する。既知の温度との接点があることは、研究室内で温度を校正するには良いが、温度測定や温度制御の用途には多くの場合不便である。その代わりに、熱電対を、サーミスタやダイオードなど感度の良い温度センサーを用いた基準接点に接続しておき、基準接点の温度を計測しておけば問題を解決できる。

■RTD

図2 差動アンプを用いた熱電対の信号増幅回路(提供:TI) 図2 差動アンプを用いた熱電対の信号増幅回路(提供:TI) 

 RTDの材料としては白金が用いられることが多い。白金RTDは、精度と再現性が高く、経年変化によるドリフト誤差も少ない。測定温度範囲も−200〜850℃と広い。ただし、センサーとしての直線性は低いので、ルックアップテーブルを使って線形化する必要がある。抵抗であるRTDは、リード線の抵抗が誤差となってしまう。そこで、リード線の抵抗の影響を極力小さくするために、差動出力のあるブリッジ構造で利用されることが多い。センサー信号の増幅やフィルタリングには、差動アンプや計装アンプを用いる。

図3 「XTR105」を用いた回路例(提供:TI) 図3 「XTR105」を用いた回路例(提供:TI) 白金RTDを駆動するとともに、4〜20mAの直流信号を出力する回路である。トランジスタQ2にはOnSemiconductorの「2N4922」、STMicroelectronicsの「TIP29C」や「TIP31Cなどが利用できる。

 Texas Instruments(TI)は、白金RTDの駆動と信号処理用に、高精度の電流源を2個内蔵する電流トランスミッタIC「XTR105」を提供している。XTR105は、白金RTDとブリッジへの電流源と計装アンプ、計装機器に用いられる4〜20mAの直流信号を差動で出力する回路などを集積している。この耐ノイズ性が高い4〜20 mAの差動出力は、接続線が長距離のツイストペアケーブルであっても、TIの「RCV420」に代表される4〜20 mA直流信号の受信ICに信号を送信できる。また、白金RTDの線形性を40倍に高める線形化回路も搭載している(図3)。

■サーミスタ

 サーミスタの測定温度範囲は0〜100℃と狭いが、安価で小型である。白金RTDと同様に、ルックアップテーブルを用いた線形化や励起電流が必要だ。サーミスタは、PTC(正の温度係数)もしくはNTC(負の温度計数)を持つものがある。PTCサーミスタの多くは、ある限界温度になると突然抵抗値が上昇する。このため、回路保護のための電流リミッタとして使用されている。温度が上昇すると抵抗が下がるNTCサーミスタこそが、温度センサーとして利用されているサーミスタである。測定する温度範囲が狭い場合には、適切な材料を選択すれば抵抗値は温度に比例して直線的に変化する。ただし、温度変化が大きい場合には校正が必要になる。RTDのリード線抵抗の問題を解決するのと同じように、サーミスタをブリッジ構成で使い、差動出力をアンプに供給してもよい。

■半導体温度センサー

 半導体温度センサーとは、トランジスタのPN接合によって温度を検知する温度センサー回路や、検知したアナログ信号を線形化する回路、A-D変換回路などを集積したICのことである。データシートには、ドリフト誤差や再現性が明記されているので、校正の必要がない。半導体温度センサーの例としては、On Semiconductorの「ADT7484A」や、サーモパイルのMEMS素子を用いたTIの「TMP006」などがある(関連ニュース)。特にTMP006は、非接触で温度を計測できるという半導体温度センサーとして目新しい機能が特徴となっている。

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