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SiC-SBDとSiパワー半導体を1パッケージ化、ルネサスがモジュール製品を投入ルネサス SiC複合パワーデバイス

ルネサスの「SiC複合パワーデバイス」シリーズは、SiC-SBDとSiパワー半導体を1パッケージ化したモジュール製品である。臨界モードPFC用、連続モードPFC用、インバータのハーフブリッジ回路用の3品種を用意した。

» 2012年01月25日 09時50分 公開
[EDN Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2012年1月、SiC(シリコンカーバイド)ダイオードとSi(シリコン)パワー半導体を1パッケージ化したモジュール製品「SiC複合パワーデバイス」シリーズを発表した。同社のSiCデバイスとしては、2011年2月に発表したSiCダイオード「RJS6005TDPP」に続く第2弾製品となる。エアコンなどの白物家電、PCサーバ、太陽光発電システムのパワーコンディショナといったパワーエレクトロニクス機器の用途に向ける。臨界モードPFC(力率改善回路)用の「RJQ6020DPM」、連続モードPFC用の「RJQ6021DPM」、インバータのハーフブリッジ回路用の「RJQ6022DPM」の3品種がある。2012年2月から価格1000円でサンプル出荷を開始する。2012年5月から量産を始め、2013年4月には3品種の合計で30万個/月まで量産規模を拡大する計画だ。


 同シリーズは、SiCダイオードを採用するとともに、各品種に必要となる電源回路やスイッチング回路を1パッケージに納めることで、個別部品による構成と比べて大幅な電力の低損失化と実装面積の低減を実現した。例えばRJQ6020DPMの場合、損失を約26%低減できているので、動作効率を97.8%まで向上できたという。実装面積も約半分となる16×40mmまで小型化している(パッケージは5端子のTO-3P)。また1パッケージにすることで、搭載機器の電子回路の信頼性向上や、設計の容易化も可能になる。

 使用しているSiCダイオードは、耐圧(逆方向電圧)が600V、定格電流が10A、逆回復時間が15nsのSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)である。同社SiCデバイスの第1弾製品であるRJS6005TDPPと同様に、日立製作所とルネサスが共同開発した低リークSiC-SBD技術で製造した。

 なお、RJS6005TDPPのサンプル価格は5000円だった。これに対して、今回発表したSiC複合パワーデバイスシリーズは、SiC-SBDとSiパワー半導体を組み合わせた製品であるにもかかわらず、サンプル価格はRJS6005TDPPの1/5となる1000円まで下がっている。

 各品種の仕様は以下の通り。RJQ6020DPMは、エアコンや薄型テレビの電源などに用いる臨界モードPFC用の製品で、SiC-SBDと高耐圧のSiパワーMOSFETを1パッケージ化している。パワーMOSFETは、深溝トレンチ構造による高効率スーパージャンクション構造を採用しており、オン抵抗は100mΩと低い。RJQ6021DPMは、通信機器のAC/DC整流器やPCサーバなどの連続モードPFC用の製品で、SiC-SBDとIGBTを1パッケージ化した。IGBTは、連続モードPFCに適した1.5Vという低いオン電圧を実現している。RJQ6022DPMは、エアコンや産業用機器のモーターを駆動するインバータのハーフブリッジ回路用の製品となっている。SiC-SBDとIGBTを2個ずつ内蔵する。IGBTは、オン電圧が1.4Vと低く、負荷短絡耐量も6μsと短いので、モーター駆動に最適である。

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