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» 2012年04月23日 08時00分 公開

デジタルオーディオで押さえるべき基本 〜その特徴を再確認しよう〜デジタルオーディオの基礎から応用(1)(2/3 ページ)

[河合一,EDN Japan]

 図2にデジタルオーディオの再生系の全体像を示した。音楽ソースはCDDAやSACD、DVD、Blu-rayといったディスクが主流であるが、フラッシュメモリに記録された音楽ファイル形式の場合もある。アナログ電気信号への変換はD-A変換機能を有する各種プレーヤーによって実行される。

 デジタル領域での量子化分解能とサンプリングレートは、「ダイナミックレンジ」と「信号帯域幅」という理論特性を決定する。これはデジタルオーディオ特有のものであり、D-A変換された後のアナログ信号の精度とは明確に区別しなければならない。

 現在、デジタルオーディオに対して最も誤解を生じさせる原因となっているのが、雑誌などで見られるデジタル理論精度とアナログ精度の混同である。本連載では、特にデジタル理論精度とアナログ精度の違いについて、詳しく解説したいと考えている。さらにデジタルオーディオにおいては、デジタル信号方式に対する定義にも気を配る必要がある。最も一般的なデジタル信号形式は「PCM(Pulse Code Modulation)信号」である。この他、「デジタルコード」と呼ばれるデジタル値とアナログ値の相対関係を定義するコードも複数存在し、例えば一般的なデジタルオーディオでは「Binary 2’s Complement」と呼ばれるデジタルコードが用いられている。

図 図2 デジタルオーディオの再生系の全体像 (クリックで拡大)

デジタルオーディオの記録方式は多様

 デジタルオーディオのアプリケーションは広範囲であり、それに従って音楽ソースにも多くの種類が存在する。CDDAやDVDにおける、いわゆる「ピュアオーディオ(ポータブル系オーディオや廉価版オーディオ再生と異なる単体コンポーネントによるハイファイオーディオ再生をここでは便宜的にピュアオーディオとしている)」では、PCM信号が用いられているが、音楽ソースごとのデジタル記録・伝送方式で区別すると以下のようになる。

ディスク系のフォーマット

  • PCM信号(リニアPCM)
  • DSD信号(Direct Stream Digital)

ファイル系のフォーマット

  • 非圧縮:WAVE(WAV)、AIFF
  • 可逆圧縮方式(ロスレス圧縮):Flac、WMA Losslessなど
  • 非可逆圧縮方式:MP3(MPEG-1, MPEG-2 Audio Layer III)、WMA、AAC、ATRAC-3など

 このうち、非可逆圧縮であるMP3やAACは、AppleのiPodシリーズやMP3プレーヤーといった携帯型のオーディオ機器で広く採用されている。これらの 非可逆圧縮方式の再生システムは、音楽再生を実現するほぼ全ての機能が集約された専用デコーダーLSIを中心に構成されており、多くの場合D-A変換機能もこのデコーダーLSIに含まれている。要求されるアナログオーディオ特性精度が、PCMに比べてかなり低いレベル(例えば、80dBのダイナミックレンジ)であるため、このような構成を採れる。一方、PCMにおいては、特に高級グレードのピュアオーディオ機器では120dB以上のダイナミックレンジが要求されるので、D-A変換には専用のオーディオ用D-Aコンバータが用いられる。

ピュアオーディオ再生システムの種類

 デジタルオーディオにおいてもPCM信号を扱うピュアオーディオのオーディオ機器にも非常に多くの製品がある。民生用途では録音(A-D変換)機能を有する携帯型レコーダーが多くあるが、本稿では再生専用システムについて解説する。デジタルオーディオにおけるピュアオーディオ再生機器の標準的な構成例を図3に示した。

図 図3 「ピュアオーディオ」の再生システムの分類 (クリックで拡大)

CDDA/SACD再生 

 最もポピュラーなものは、CDDA/SACDといった音楽専用ディスク系ソースの再生システムである。CDDA/SACDプレーヤーがD-A変換システムに相当し、プレーヤーのアナログオーディオ信号出力をアンプ・スピーカーで再生する。多くの場合、オーディオ・チャネル数はステレオ(2チャネル)である。

DVD/Blu-ray再生 

 ホームシアターに代表される映像と音楽の両方に対応したディスク系再生システムの代表が、DVD/Blu-rayプレーヤーである。標準的には、DVD/Blu-rayプレーヤーのデジタル出力をAVアンプに接続する。デジタル信号のインタフェースにはSPDIFやHDMIなどの規格化されたフォーマットが使われる。AVアンプはD-A変換機能を有しており、D-A変換後のオーディオ信号出力はスピーカーシステムに接続される。当然、Dolby、DTS、THXといった独自のフォーマットに応じた機能も有しており、「Dolby5.1ch」に代表されるようにマルチチャネル再生にも対応しているのが一般的である。

音楽ファイル再生 

 最新の流行と言うことであれば、PC/USBオーディオ、ネットオーディオという新しいアプリケーションがある。これらは、「ハイレゾ音源」と呼ばれる、24ビット分解能、サンプリング周波数fs=96kHz/192kHzの高性能PCM音源をファイルとして保存しておき、DAC(D-Aコンバータ製品)やネットワークプレーヤーで再生するものだ。DACとネットワークプレーヤーはD-A変換機能を有しており、オーディオ信号出力はアンプに接続される。

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