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» 2012年05月08日 09時30分 公開

Wired, Weird:トランジスタも捨てたものではない (2/3)

[山平 豊,内外テック]

基本回路の動作を追ってみよう

 図1と図2の違いは、Q1のエミッタとベースの接続である。すなわち、この接続を入れ替えることで、コンパレータの動作を低レベル検出または高レベル検出に切り替えられる。それでは、各図の動作を詳しく見ていこう。

 図1に示した低レベル検出の接続では、入力電圧をQ1のベースに、基準電圧をQ1のエミッタにそれぞれ接続している。また、Q1のコレクタはQ2のベースにつながっており、Q1がQ2を制御する形だ。Q1のエミッタに印加する基準電圧は、電源電圧(VCC)を同じ値の抵抗R2とR3で分圧して生成しており、その大きさはVCC/2になる。

 ここで、コンパレータへの入力電圧が[基準電圧−Vbe(トランジスタのベース電位)]よりも低い場合は、Q1のベースに電流が流れてQ1がオンし、Q1のコレクタからQ2のベースへ電流が流れ、Q2もオンになる。するとQ2の出力論理が低レベルに切り替わるというわけだ。そして、D1に電流が流れて点灯し、低レベルのしきい値電圧を検出したことを通知する仕組みである。

 一方で、入力電圧が[基準電圧−Vbe]よりも高いときは、Q1のベースには電流が流れないので、Q1もQ2もオフになる。このときはQ2の出力論理が高レベルになり、D1は消灯している。

 次は、図2に示した高レベル検出の接続である。Q1の接続の入力電圧と基準電圧が、図1と逆になっていることに注意してほしい。入力電圧がQ1のエミッタに、基準電圧がQ1のベースにつながる構成だ。ここで、入力電圧が[基準電圧+Vbe]よりも低いときは、Q1のベースに電流が流れず、Q1もQ2もオフになり、出力論理が高レベルに遷移して、D1は消灯している。入力電圧が[基準電圧+Vbe]よりも高くなると、Q1もQ2もオンになり、出力論理が低レベルに切り替わってD1が点灯する仕組みだ。

コンデンサとスイッチで遅延動作も

 この高レベル検出のコンパレータを使った応用として、遅延回路の例を紹介しよう。図3を見てほしい。図2のコンパレータ回路に、スイッチSWの信号を抵抗Rでプルアップし、コンデンサCを充電する回路を追加した。

図3 コンパレータを利用した遅延回路 図3 コンパレータを利用した遅延回路 図2のコンパレータ回路に、スイッチSWと抵抗R、コンデンサCを追加した。SWがオフになると、RとCの時定数で決まる一定時間が経過した後に、コンパレータが高レベルを検出してD1が点灯する。 (クリックで画像を拡大)

 SWがオンになっている期間の動作は、図2と変わらない。SWがオフになるとCの充電が開始し、コンパレータへの入力電圧が徐々に高まっていく。そしてRとCが作る時定数で決まる一定の遅延時間が経過すると、コンパレータが高レベルを検出してD1が点灯する。

 高レベル検出のコンパレータは、このような遅延回路として使い勝手が非常に優れている。入力電圧が低いときにCへ流れ込む電流はRからの電流のみで、コンパレータ側からの電流の流れ込みが無いからだ。そのためコンパレータは高インピーダンスの回路になり、正確な遅延時間を作ることができる。この遅延時間は、上述の通り、Rを介してCに充電する時定数CRで決まる。

 遅延時間Tの正確な計算式は、T=C×R×ln[VCC/(VCC−Vth−Vbe)]で表わせる。ここでlnは自然対数、VthはVCCを抵抗R2とR3で分圧した電圧値である。lnの中の値[VCC/(VCC−Vth−Vbe)]が2.7になるようにVthを設定すれば、lnの計算値は1になる(ln(2.7)≒1)。すると遅延時間はC×Rの計算値のみで決まるので、簡単に遅延時間を求められる。

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