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» 2012年05月08日 09時30分 公開

Wired, Weird:トランジスタも捨てたものではない (3/3)

[山平 豊,内外テック]
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低と高、2つの検出を組み合わせる

 それではいよいよ、トランジスタで構成するウィンドウコンパレータを紹介しよう。図4がその回路例である。

 ご覧の通り、このウィンドウコンパレータ回路はわずか3個のトランジスタで構成できる。入力電圧の判定にpnp型のトランジスタを2個(Q1とQ2)、判定結果の出力にnpn型のトランジスタを1個(Q3)使用した。この回路でpnp型をnpn型に、npn型をpnp型に置き換えれば(つまりnpn型を2個、pnp型を1個使うと)、出力の論理を変えることが可能だ。なお図の左手にある入力側の可変抵抗VR1は、図1、図2と同様に回路の動作確認用であり、ウィンドウコンパレータへの入力電圧を設定するために用いる。

図4 トランジスタ3個だけのウィンドウコンパレータ 図4 トランジスタ3個だけのウィンドウコンパレータ ウィンドウコンパレータを構成する部品のうち、能動素子は3個のトランジスタだけである。なおこの回路でpnp型をnpn型に、npn型をpnp型に置き換えれば、出力の論理を変えることが可能だ。 (クリックで画像を拡大)

 この回路のポイントは、Q1とQ2のコレクタ同士をワイヤードOR接続しているところだ。また、2つの基準電圧は、同じ値の抵抗R2、R3、R5を直列に接続した分圧器を用いてVCCを分圧することで作り出しており、その大きさは1/3VCCと2/3VCCになる。それでは、この回路の動作を詳しく見ていこう。

 Q1は、高レベル電圧を検出する役割を果たす。そのため、Q1のエミッタは入力電圧へ接続され、ベースには2/3VCCの基準電圧が印加されている。Q1の入力電圧が[2/3VCC+Vbe]よりも高くなると、Q1のベースに電流が流れてQ1はオンに切り替わる。するとQ1のコレクタからQ3のベースに電流が流れて、Q3もオンに遷移し、D1が点灯して高レベルの検出を通知する。

 一方Q2は、低レベル電圧の検出を担う。そのため、Q2のベースは入力電圧へ接続され、エミッタには1/3VCCの基準電圧が印加されている。Q2の入力電圧が[1/3VCC−Vbe]よりも低くなると、Q2のベースに電流が流れてQ2がオンする。そしてQ2のコレクタからQ3のベースに電流が流れて、Q3もオンに切り替わり、D1が点灯して低レベルの検出を知らせる仕組みだ。

 このように、図4の回路は、高レベル検出と低レベル検出の2つの動作を組み合わせることで、ウィンドウコンパレータとして機能する。すなわち、入力電圧が[1/3VCC−Vbe]よりも高く、[2/3VCC+Vbe]よりも低いときがウィンドウ域となる。このウィンドウ域では、Q1もQ2もオフ状態にあり、Q3のベースには電流が流れないのでQ3もオフになって、出力論理が高レベルになりD1が消灯する。入力電圧がウィンドウ域を外れると、出力論理が低レベルに遷移してD1が点灯する。

基準電圧に注意

 図4の回路において注意すべきは、基準電圧が絶対電圧ではなく相対電圧になるという点だ。これは、実際にマルチメーターで基準電圧を測定してみれば確認できる。

 具体的にはこうだ。入力電圧がウィンドウ域にあるときはQ1もQ2もオフなので、基準電圧の測定値は計算値と合致する。しかし、入力電圧がウィンドウ域から外れると、基準電圧の回路に電流が流れ込む。そのため低い入力電圧の場合は基準電圧が低レベル側へ下がり、高い入力電圧の場合は基準電圧が高レベル側へ上がってしまう。従って、入力をオープンにするか、ウィンドウ域にある電圧を与えて、基準電圧を確認する必要がある。



 今回は、3個のトランジスタをうまく接続することで、小型で安価なウィンドウコンパレータを簡単に構成する方法を紹介した。この回路は、入力電圧と基準電圧が電源電圧にほぼ比例して動作するので、電源の条件が悪い環境でも有効に使え、防犯機器用のセンサーやセンサーループの監視回路などに応用可能だ。

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