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» 2012年06月20日 15時20分 公開

iPhoneでマルチタッチができるのはなぜ?いまさら聞けないデジタル技術の仕組みを解説(2/2 ページ)

[上口 翔子,@IT MONOist]
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静電容量方式の仕組み

 静電容量方式のタッチパネルは、静電容量センサーの上のガラスと指先の間の静電容量(2〜10pF)を検知し、押された(タッチされた)場所の距離や時間を計算しながら滑らかなタッチ操作を実現しています。

 静電容量は、コンデンサ容量のことで、触れたときにプラスとマイナスの電荷が引かれ、触れる面積が広かったり、距離が狭くなるほど、大きくなります。検出方式は、表面型(Surface Capacitive)と投影型(Project Capacitive)の2種類があり、それぞれ構造が異なります。

図3 人体の静電容量

表面型(Surface Capacitive)
 表面型は、保護膜と透明な電導膜、パネルの4隅に配置された電極により構成されています。仕組みとしては、パネルの表面全体に一様な電界が発生させ、タッチされた場所からパネルの4隅までまでの距離と電流の比率を計算することで、距離に反比例した電流を検出します。

図4 表面型の構造 図4 表面型の構造

 投影型に比べると非常にシンプルな構造ですが、その分、2点以上の接触を検知(マルチタッチ)することが困難だとされています。

投影型(Project Capacitive)
 投影型は、ガラスやプラスチックなどの絶縁体フィルム、その下に電極層、演算処理を行うICを搭載した基板層、の順に構成されています。基本的な仕組みは、X、Yのマトリックスを順次スキャンしていくことで、静電容量の変化を検出します。1つのICで膨大な量の演算をしており、マルチタッチができる(注)のが特徴です。

(注)抵抗膜方式が電導膜の接触でタッチされたことを検知するのに対し、静電容量方式は静電容量の変化によりタッチされたことを検知しているため、多点検出(マルチタッチ)ができる。それを1つのICで制御している。※2009年5月13日午前10時の初出時文章に追記(2009年5月13日午後8時)

図5 投影型の構造 図5 投影型の構造

 また、投影型は大型タッチパネル向けのセンサーワイヤー(Sensor Wire)方式と小型タッチパネル向けのITOエッチング(ITO etching)方式に分けられ、iPhoneに使用されているのはITOエッチング方式です。センサーワイヤー方式は抵抗値が小さいため感度が高く、ITOエッチング方式は抵抗値が小さくできないため感度を上げるのが難しい、という特徴があります。

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抵抗値が高いと電流の伝達速度が遅くなってしまうから、反応が遅くなってしまう。だから大型のタッチパネルには向いていないんだ。マルチタッチをするにはITOエッチング方式が向いているんだけど、大型のものになるとノイズも多くなって、検出が難しいんだ。それが今後の課題だね。


今後のタッチパネル市場

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いままでは抵抗膜方式が多かったってことだけど、iPhoneの例もあるし、これからは静電容量方式が主流になってくるのかな?


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たしかに、静電容量方式自体は以前からあったけど、投影型が小型機器に搭載されてマルチタッチが注目されたのは最近のことだからね。ICメーカーの頑張り次第じゃないかな。でも、抵抗膜方式にもメリットがあるし、一概にはいえないね。


 例えば抵抗膜方式は2点以上の同時押しをしても、真ん中の座標が検出されてしまうことから、マルチタッチができませんでした。しかし最近ではソフトウェアの改良や上下フィルムの距離計算などをすることで、抵抗膜方式でもマルチタッチができるようにするなど、各社が開発を進めています。


特別協力

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タッチパネル研究所

モニター事業部

技術担当

長塚 知志 氏



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