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» 2012年07月23日 07時00分 公開

いまさら聞けないMCU入門半導体技術解説(2/3 ページ)

[五月女 哲夫,アーム]

MCUのプロセッサ

 MCUが利用されるような制御アプリケーションは、非常に広範にわたります。また搭載される機器の価格も非常に広い範囲にわたります。そのため、MCUに搭載されるプロセッサは非常に幅広く、4ビットから32ビットまでさまざまなものが存在します。

 さて、プロセッサといえばパソコン用のプロセッサがよく知られていますが、パソコン用のプロセッサを使ってMCUを作ればいいかというとそうではありません。MCU用のプロセッサには以下のような組み込み制御アプリケーション固有の要件があり、MCUのプロセッサはそれらを満たしている必要があります。

photo 画像3 MCU用プロセッサに求められる要件

消費電力が少ないこと

  MCUはさまざまな製品に組み込まれます。中には電池で駆動する必要があるものや、放熱装置が搭載できない場合や、製品のサイズの制約で非常に小さい電源しか使えない場合もあります。そのため、MCUのプロセッサは組み込まれる製品の商品性に影響を与えないような消費電力で動作する必要があります。

小さいこと

  MCUが組み込まれる製品には、高額な産業/医療機器もありますが、非常に安価な民生機器もあります。安価な製品に組み込むためにはMCUの値段が安くなければなりません。MCUは半導体製品なので、面積が小さければコストが低くなります。従って、MCU用のプロセッサはなるべく小さいことが求められます。

割り込み処理が高速なこと

 MCUの使われる制御アプリケーションでは、制御のために多くのI/O回路が接続され、それぞれが頻繁に割り込みをプロセッサに要求してきます。従って、制御アプリケーションにおいては、演算性能もさることながら、割り込み処理の性能も大きな意味を持ちます。割り込み処理が高速ならば、それだけ多くのI/O機器をきめ細かく制御できるので、制御アプリケーションとしての性能が向上します。

コード密度が高いこと

  MCUのプログラムはMCU搭載のフラッシュメモリに書き込まれることが多いため、プログラムがフラッシュメモリに格納できるかどうかは重要な問題です。格納できない場合は、ROMを外付けするかROM容量の大きな製品を使う必要がありますが、どちらも大幅なコストアップになります。そのため、コード密度の高い命令セットを持ったプロセッサを使う方がコスト的に有利です。

プログラムが記述しやすいこと

 MCU搭載製品に求められる機能はどんどん高度になっていますので、MCUのプログラムの規模も増え続け、開発に掛かる労力も増す一方です。ソフトウェアの開発に掛かる労力を考えるとプログラム記述の容易さは重要な要素です。MCU向けプロセッサの中には機能に制約を持たせてコストを下げる場合もあります。しかし、プログラム規模が大きくなると、プログラムの記述が容易ではない場合、プログラムの開発やデバッグにかかる時間が予想以上に長くなり、最悪の場合は出荷時期に間に合わず販売機会の損失につながる恐れがあります。

photo 画像4 MCU用プロセッサの例(アーム Cortex-M3)

MCUのメモリ

 MCUに搭載されているプロセッサが動作するためにはメモリが必要です。一般的にはMCU中のメモリだけで動作し、外付けのメモリなしで使用しますが、大容量のメモリを必要とするようなアプリケーションではMCU上に搭載できないため、外付けでメモリが接続できるようになっているものもあります。

 メモリとしてはプログラムを格納するROMが必要ですが、最近のMCUのほとんどはフラッシュメモリを搭載してプログラムメモリとして使用します。フラッシュメモリの容量に応じてMCUの製品バリエーションがいくつか用意されています。フラッシュメモリのサイズは数10kbytesから数Mbytesまでさまざまですが、サイズが大きいものは高価です。

 データエリアとしてのRAMも搭載されていますが、ROMに比べるとサイズは小さいのが一般的です。特殊な用途で大規模なRAMが必要な場合はメモリを外付けすることになります。

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