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「センサ新時代」(1) センサ新時代が到来
新しい成長市場に向けてAFEに注力
【講座】回路設計の新潮流を基礎から学ぶ

「センサ素子を搭載していない電子機器は存在しない」。そう言い切っても過言ではないだろう。現在、多機能化や携帯化、小型化が同時に進んでいる電子機器にとって、センサ素子は欠くことができないビルディング・ブロックとなっている。

» 2013年05月01日 00時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 センサ・アプリケーション市場が急拡大している。白物家電や携帯機器、産業機器、医療機器、スマートグリッド機器といったさまざまな電子機器で搭載が進んでいるからだ。こうした成長市場に向けて、多くの半導体メーカーが取り組みを強化する中、テキサス・インスツルメンツ(TI)はアンプやA/DコンバータといったAFE、その後段のデジタル処理に必要なマイコン、および通信に欠かせないワイヤレスに注力する。

 「センサ素子を搭載していない電子機器は存在しない」。そう言い切っても過言ではないだろう。現在、多機能化や携帯化、小型化が同時に進んでいる電子機器にとって、センサ素子は欠くことができないビルディング・ブロックとなっている。

 とはいっても、そのセンサ素子の存在を実感しているエンド・ユーザーは少ないだろう。エンド・ユーザーが見たり、感じたりできるのは、電子機器の機能にすぎないからだ。センサ素子は、そうした機能を実現する裏方の役割を担っている。このためセンサ素子の存在に気付かない。

 存在はわからないものの、実際のところ1台の電子機器には数多くのセンサ素子が搭載されている。いくつか例を紹介しよう。例えば、白物家電の冷蔵庫。搭載数の多い機種では、温度センサなど十数個ものセンサ素子が搭載されている。庫内の温度をきめ細かく監視することで、大幅な低消費電力化を実現している。

図1 用途の広がるセンサ

 スマートフォンやタブレット端末といった携帯機器にも、数多くのセンサ素子が搭載されている。代表的なのは、動き(モーション)を検出したり、方位を検出したりする加速度センサや角速度センサ、地磁気センサである。もちろん産業用電子機器でも、数多くのセンサ素子が活躍している。工場の生産管理システムで使うガス・フロー・センサや温度センサ、加速度センサなど、例を挙げれば枚挙に暇がない。今後、市場の拡大が期待される医療機器やヘルスケア機器、HEMS/BEMS、スマートグリッド対応機器にも、センサ素子がたくさん使われる見込みだ。

 多くの電子機器で採用が進むため、今後センサ素子市場は急速に拡大する(図1)。

AFEで勝負

 この成長が著しいセンサ市場に注力する半導体メーカーは数多い。TIもその1社である。しかし、同社の取り組みは、競合他社とはひと味違う。違いは、同社はセンサ素子自体の製造ほとんど手掛けていない点にある。「製品化しているのは温度センサぐらいにすぎない」(同社)という。その一方で注力しているのは、センサ素子の後段に接続する半導体チップである。具体的には、アンプやA/Dコンバータなどのアナログ・フロント・エンド(AFE)である。AFEは、センサ素子から出力される微少なアナログ信号を増幅し、マイコンなどで処理できるようにデジタル信号に変換する役割を果たす。つまり、センサ素子にとってAFEは欠かせない存在である。

 このAFEに注力するというTIの戦略は、特に日本国内市場では好意的に受け入れられているという。なぜならば、日本国内には、高い世界シェアを握っているセンサ素子メーカーが何社も存在するからだ。

ユーザーの要求に応える

図2 TIのセンサ・ビジネス・モデル
ユーザーであるセンサ素子メーカーや電子機器メーカーの要求に柔軟に対応すべく、さまざまな形態でAFEやマイコンを提供する体制を整えている。すべてをディスクリート部品で提供したり、アンプとA/Dコンバータ、マイコンの全部を統合して提供したりすることが可能だ。

 もちろん、「センサ素子をほとんど製造していない」という事実だけで、AFEを採用してくれるほど安易な市場ではない。ユーザーとなるセンサ素子メーカーや電子機器メーカーの要求に応える製品力も不可欠だ。いかにして製品力を高めるのか。TIの取り組みとして特筆すべき点は3つある。

 1つは、AFEの供給形態の多様性を確保していることだ。アンプやA/Dコンバータ、マイコンをディスクリート部品として供給するほか、さまざまな形態の統合品も用意している。具体的には、アンプとA/Dコンバータを統合した製品や、アンプとA/Dコンバータ、マイコンのすべてを統合した製品などである(図2)。

 一般に、機能統合は推進した方が良いと考えられている。高性能化や小型化、低コスト化などが実現できるからだ。多くの場合、こうした統合化のメリットを享受できる。しかし、用途によっては、ディスクリート部品を使った方が良いケースもある。統合を進めた結果、消費電力が大きくなってしまったセンサ素子も存在するからだ。こうしたセンサ素子は、電池駆動時間(バッテリ・ライフ)が重要視される電子機器には適用しづらい。消費電力の観点で比べた場合は、統合品ではなく、ディスクリート部品を採用した方が良いこともある。

 TIでは、このようなケースにも柔軟に対応できるようにするため、AFEの供給形態の多様性を確保している。もちろん統合による高性能化や小型化、低コスト化のメリットを享受できる用途も少なくない。そうした用途には、統合品の開発を積極的に進めている。

ベア・ダイで超小型モジュールをサポート

図3 ベア・ダイ供給
AFEやマイコンをパッケージに封止しないベア・ダイの状態で提供することが可能だ。

 2つめの取り組みは、最適な最先端プロセスを適用していることだ。センサ素子が出力するアナログ信号は、その種類によって千差万別だ。電圧振幅が大きいものもあれば、小さいものもある。ノイズ成分が多いものもあれば、変化の割合が大きいものもある。AFEは、こうしたアナログ信号の特性に合わせて設計し、製造しなければならない。

 TIは、さまざまなアナログ・チップ向け半導体製造プロセスを保有している。高耐圧向けプロセスもあれば、低雑音向けプロセスや高速動作向けプロセスもある。こうした製造プロセスを使い分けることで、それぞれの用途に最適なAFEを実現している。従って、センサ素子メーカーや電子機器メーカーが求める性能を満足できるわけだ。

 3つめは、ベア・ダイでの供給に柔軟に対応できることである(図3)。現在、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で製造した超小型の加速度センサやジャイロ・センサなどが製品化されている。センサ素子を小型化すれば、その後段のAFEの小型化も強く求められる。ベア・ダイの状態でAFEを入手できれば、MEMS素子とともに1つのパッケージに封止した超小型センサ・モジュールを実現できるからだ。

 「現在、TIでは製品化しているほぼすべての半導体チップに関してベア・ダイ供給の要望があれば、対応を検討する」(同社)という。

次なる波は「センサ・ハブ」

 AFEという半導体チップの提供でセンサ素子市場に攻勢をかけるTI。その同社が、「次なる成長市場」と位置付けているのが「センサ・ハブ」、もしくは「センサ・フュージョン」である。これらは、電子機器に搭載されているさまざまなセンサ素子の検出結果を一カ所にまとめて統合的に処理することで、単一のセンサ素子の検出結果だけを処理するだけでは得られない高度な情報(データ)を得るというもの。例えば、スマートフォンやタブレット端末では、ジャイロ・センサや地磁気センサ、圧力センサなどが搭載されている。これらの検出結果を統合処理することで、新しいアプリケーションを創出するわけだ。

図4 センサ・ハブに向けたリファレンス・ソフトウエア
低消費電力マイコン「MSP430」を使ってセンサ・ハブ/センサ・フュージョン機能を実現するために向けたリファレンス・ソフトウエアである。アプリケーションに開発が容易になる。

 従って、センサ・ハブ/センサ・フュージョンを実現するには、センサ素子とAFEだけでは足りない。検出結果を統合処理するマイコンとソフトウエアが不可欠だ。マイコンについては、同社には低消費電力マイコン「MSP430™」がある。例えば、スマートフォンにおいて、センサ・ハブ/センサ・フュージョンの処理をアプリケーション・プロセッサに実行させると、消費電力は数十mWも必要になる。そこで、センサ・ハブ/センサ・フュージョンの処理に向けてMSP430を追加すれば、消費電力を約1/10の数mWに抑えられる。しかも、MSP430の起動時間は1μs 以下と短いため、アプリケーションの使い勝手を損なう危険性はない。

 ソフトウエアについては、センサ・ハブ/センサ・フュージョンに対応したアプリケーションの開発を容易にするリファレンス・ソフトウエアを用意している(図4)。

関連製品:LMP91000 -低消費電力ガスセンサ・アプリケーション向けプログラム可能なAFE

※MSP430はTexas Instrumentsの登録商標です。その他すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月31日

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