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» 2013年09月05日 11時00分 公開

電源設計:液晶テレビを低電力化する新たなLED駆動方式 (4/5)

[Peter Rust, Werner Schogler, Manfred Pauritsch, Herbert Truppe,ams]

電流シンクの特性

 LEDの動作には完全に安定化された定電流電源が要求されるので、LEDドライバの基本的な働きは電流をオンの時には定格値に、オフの時にはゼロに設定することだ。そのため、制御を正確化するためのフィードバックループに超高精度の電流シンクが必要となる(図7)。

(図7)さまざまな方式がある電流シンク (クリックで拡大)

 電流シンクにはさまざまな方式があるが、TVバックライト用としての精度要求(電流変動率±0.5%以下)を実現するには、ILED電流がILED電圧の影響を受けることなく設定できる必要がある。しかし、バックライト用ドライバ用途では、この課題をクリアするのは極めて難しい。電流シンクの電圧が非常に低いレベルに低下した時にも電流制御の正確さを維持しなければならないからだ。

 このような要求を満足することは難しいことだが、こうした用途に特化して設計した高精度電流シンクLEDドライバも存在する。それらのデバイスにはオフセット補償オペアンプが組み込まれている。電流シンクドライバは、シンク用トランジスタが完全かつ正確に飽和領域内で動作するよう、ドレイン電圧(VDS(SAT))が所定の最小値以上でなければならない。飽和領域では基本的にゲート・ソース電圧により出力電流が制御される。

 電流シンクが高効率で動作するためには、VSETとVDSの間の電圧降下の小さいことが重要だ。オフセット補償機能の組み込まれたオペアンプを使用するLEDドライバは、VSETを125〜250mVほどの低レベルに保持できる。VDSの値がVDS(SAT)よりマージン込みで150mVだけ高く設定できれば、電流シンクでの全電圧降下として約400mVが必要になる。8素子ストリングの場合(ここで、Vfは8×3.2V=25.6Vと仮定)、ISINKの1.5%程度が電力損失になる。バックライト用LEDドライバに組み込まれたオフセット補償機能を使用しない場合には、VSETが高くなり、電流シンクでの電力損失が高くなる。

電力最適化のためのフィードバック制御

 前述のように、LEDドライバからSMPSへのフィードバックの働きによりドレイン電圧が必要最小限の値に設定される。出力電流シンクの実装には、単純な事前設定型電流出力ドライバと外部コンデンサとを組み合わせる構成(図8左)、あるいはアタックタイムやリリースタイムを設定するとともに、デジタル‐アナログコンバータ(IDAC)により電流出力を制御するためのデジタル制御回路を利用する構成(図8右)のいずれかが利用できる。

(図8)出力電流シンクの実装例。左は単純な事前設定型電流出力ドライバと外部コンデンサとを組み合わせる構成。右は、デジタル‐アナログコンバータ(IDAC)により電流出力を制御するためのデジタル制御回路を利用する構成 (クリックで拡大)

 これらの方式はいずれも効率が良好であり、電圧フィードバック機能をもつタイプならば、どのSMPSにも使用することが可能で、さらに、ミックス方式として要求されるような複数のドライバから1つのSMPSへのフィードバックパスも形成できる。

 しかしながら、2番目のデジタル実装方式の方に、幾つか利点がある。出力コンデンサを要しないことに加え、デジタル回路ではフィードバックシステムのアタックタイム、ディケイタイムを設定する際の自由度が大きい。

 高速アタックタイムとディケイ・レイテンシ(減衰開始を遅らせる)および比較的緩やかなディケイタイムの組み合わせを選定すれば、ディスプレイのパフォーマンスが改善される。このメリットは輝度が急速に変化するシーンにおいて顕著だ。この場合、高速アタックタイムの効果により、スクリーンが暗い状態から最高の明るさに変化するときに知覚されやすい輝度信号中の偽信号が軽減される。アナログソリューションでは、暗いフレームが続く時のLED出力の低下が徐々に進むので、次の明るいシーンで最高の明るさを表示するまでに遅れが目立つことになる。

 この問題は、映画や他のビデオコンテンツではフレーム間での変化が大きいことから、TV視聴者に知覚されやすい欠点となる。こうした偽効果は、デジタル制御回路によりディケイ開始点に数百ミリ秒の遅延を挿入することにより軽減できる。つまり、明るいフレーム列が少数の暗いフレーム列で途切れる時には、ドライバが電圧ディケイを自動的に遅らせるので、次にくる明るいフレームが最高輝度で始まる。ディケイ・レイテンシが実装されたデジタルフィードバック・アルゴリズムを搭載した製品も存在する。

 LEDドライバICに組み込まれる他の便利な機能として高速シリアルインタフェース(SPI)がある。直接方式バックライトテレビでは、LEDが多数の比較的短いストリングとして配列されるので、パネルの小さい領域毎にディミングが可能であり、電力が節減される。典型的な配列では、16×16のマトリックス状に256チャンネルが含まれ、それぞれがパルス幅変調(PWM)により制御される。しかし、可変のパルス幅とディレーを持つ256チャンネルのPWM信号を生成するのは、最高速のマイクロコントローラにとっても極めて重い処理タスクになる。

 そのため、これらのバックライトシステムでは、LEDドライバICに集積化されたローカルPWM発生機が使用される。この方式では、単純なSPIデータ転送により輝度が設定できる。複数のドライバICを利用する方式(例えば、1個のICで16チャンネル、16個のICで256チャンネル)でのLEDチャンネルの制御は、デイジー・チェーン接続のSPIを介して、VSYNC(垂直同期信号)同期フレーム用データが当該フレームの開始前に転送されることで行われる。

 この構成では、SPIによるデータ伝送の速度が20Mビット/秒、つまり400Hzフレームレートにおいて50Kビット/フレームに達する。これは、実際のフレームに同期して各フィールドのディミングを制御するに十分な速度だ。つまり、理想的なローカルディミングが最小のマイクロコントローラのオーバーヘッドで実現可能だ。

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