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パルススキッピングモードの長所/短所とその回避法自動車用スイッチング電源設計(1/5 ページ)

スイッチモード電源(SMPS)の多くは、出力を制御するために固定周波数制御によるパルス幅変調(PWM)方式を用いています。PWM方式のSMPSの多くは、「パルススキッピングモード」という動作モードを使用しています。本稿は、パルススキッピングモードとは、どのような状況で使用され、どのような利点や短所があるのかを解説します。さらに、パルススキッピングモードを用いないSMPSを実現する方法も紹介していきます。

» 2014年03月03日 10時00分 公開
[Frank Dehmelt,Application Engineer, Mixed Signal Automotive at Texas Instruments]

 スイッチモード電源(SMPS)の多くは、出力を制御するために固定周波数制御によるパルス幅変調(PWM)方式を用いています。そして、PWM方式を用いたSMPSの多くは、「パルススキッピングモード」という動作モードを使用しています。

 本稿は、パルススキッピングモードとは、どのような状況で使用され、どのような利点や短所があるのかを解説します。さらに、パルススキッピングモードを用いないSMPSを実現する方法も紹介していきます。


 パルススキッピングモードを使用するケースは、主に3つあります。

1)低電力モード(LPM)

 軽負荷時に、スイッチング損失を減らすために、パルスをスキップさせてスイッチング回数を減らします。

2)ドロップアウトモード

 入力電圧と、出力しなければならない電圧がほぼ等しい時、ハイサイドのFETのデューティサイクルが100%になるよう動作させますが、ブートストラップ電源の場合ブートストラップ用のコンデンサの再充電がハイサイドFETを駆動するために必要となります。そのため、コンデンサの再充電するために、ローサイドFETを短くオンする必要があり、パルススキップが行われます。

3)最小オン時間という物理的制約への対応

 高い入力電圧で低い出力電圧を供給する場合、FETのオン時間を短くする必要があります。高い周波数で動作するSMPSの場合、特にオン時間を短くしなければなりません。ただ、FETやゲートドライバーのオン時間は物理的に、数十〜数百n秒の最小オン時間以上に短くできません。そのため、パルスをスキップさせて、スイッチング回数を減らして対応します。

 次に、デバイスでパルススキッピングを行う仕組みについて解説します。

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