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信号の絶縁とAD変換が1つでできる便利な素子 AD7403モーターや電源、ソーラー発電などのハイサイド電流測定に最適 安全規格に適合

差動入力1chのシグマ・デルタ・モジュレータとマイクロマシン・トランスによる磁気アイソレーション・デジタル回路を1つのパッケージに収めた素子「AD7403」を紹介します。ACモーターの電流測定、電源やソーラー発電インバータの電流計側、高圧充電回路の電流モニターなどさまざまな回路の電流測定回路に使うことができます。

» 2014年07月11日 13時30分 公開
[PR/EDN Japan]
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 「AD7403」は、差動入力1chのシグマ・デルタ・モジュレータとマイクロマシン・トランスによる磁気アイソレーション・デジタル回路を1つのパッケージに収めた素子です。アナログ入力側とデジタルの出力側は電気的に絶縁されていて、グランドは別々になっています。このため入力側に高い同相電圧を入力することが可能で、シャント抵抗によるハイサイドの電流測定に最適です。ACモーターの電流測定、電源やソーラー発電インバータの電流計側、高圧充電回路の電流モニターなどさまざまな回路の電流測定回路に使うことができます。

AD7403 アイソレーション・シグマデルタ・モジュレータ

 従来、ADコンバータとフォトカップラーを組み合わせた回路や、入力にアイソレーション・アンプを使うなどの方法でシャント抵抗の出力を絶縁していた回路を、1つのAD7403で置き換えることが可能になりました。絶縁はチップ上のトランスによる磁気結合を用いているため、フォトカップラーのように長期間使用によるCTRの低下はありません。測定の精度やSN比は、後段のデジタル・フィルターの構成によりますが、16ビット分解能で、14.2ビットの有効ビット数と87dBのSN比を持っています。出力は、密度変調された1ビットのパルス列としてチップ上のトランスでアイソレーション後、2次側に伝送されます。この出力をプロセッサなどでデジタル・フィルタリングとデシメーションすると、多ビットのAD変換データになります。フィルターは、簡単なSinc3移動平均フィルターでも十分な性能が期待できます。なお、使用するサンプリング・クロックは、5M〜20MHzです。

 AD7403の入力レンジは、標準で±250mV(±320mVmax)で、低シャント抵抗値による小さな電圧も、プリアンプ無しで正確に取り込みます。シャント抵抗によるセンス電圧が小さくて済み、損失の低下、発熱による信頼性低下や温度ドリフトによる精度の低下を避けることができます。なおこの素子の動作温度範囲は、−40℃〜+125℃です。

AD7403のブロック図と主な特長 (クリックで拡大)

 アイソレーション機能を含む素子では、絶縁の安全性が重要なポイントです。AD7403は、VDE、CSA、ULなどの各種規格に適合しています。パッケージも、IEC60950-1にガイドラインとして示されている1次2次間の導体の物理的な距離として、クリアランス(空間距離)、クリーページ(沿面距離)ともに8.3mm以上を確保しています。各種の規格に対するレートは以下の表1を参照してください。

■各種安全規格(申請中)

  • VDE:VIORM 1250Vpeak
  • CSA:Component Acceptance Notice 5A
    586Vpeak(Reinforced) 1173Vpeak(Basic)
  • UL 1577:5000Vrms/1min

 このデバイスは、1次側と2次側にお互いに絶縁された電源を、別個に必要とします。2次側は、システムの電源(3.3V〜5V)と共用できますが、1次側は多chを共用にすることはできません。ICの電源は、2次側の電源から作ることができます。ハイサイド側なので、シャントの電圧側より5Vの電圧があれば動作します。もう1つは、絶縁DC-DC電源を使う方法です。アナログ・デバイセズ社では、マイクロマシン・トランスの技術を用いて、小さなICパッケージ内に入出力が絶縁されたDC-DC電源を封入した素子を提供しています。ADuM6000やADuM5000というモデル名で、それぞれ400〜500mWの出力が可能です。SOパッケージ品ですが、もちろん入出力は内部トランスにより絶縁されています。出力に余裕があるので、OPアンプによるフィルターやレベルシフトなどの信号処理回路用の外部回路への電力供給も可能です。

 このようにAD7403は、アイソレーションが必要な多くのアプリケーションで高精度の計測を可能にする、便利なデバイスです。設計の役にたつIBISモデルや、評価用のボードも用意されています。詳しくは下記のサイトをご覧ください。



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