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ラッチアップって何?Q&Aで学ぶマイコン講座(4)(1/3 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。4回目は、「ラッチアップ」に関する質問です。ラッチアップの仕組みと対策もご紹介します。

» 2014年07月14日 07時30分 公開
[菅井 賢STマイクロエレクトロニクス]

 素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。

 今回は、中級者から多く寄せられる質問です。

「Q&Aで学ぶマイコン講座」過去の質問一覧はこちら


 マイコンで発生する“ラッチアップ”とは、どういう現象ですか?

 マイコンは膨大な数のPN接合で構成されています。その中にはPN接合が2つ連なった4重構造の「PNPN」が構成さている部分があります。PNPNの構造は、電力用スイッチング素子として使用される「サイリスタ」(Thyristor)の構造であり、マイコン内のPNPN部分は「寄生サイリスタ」と呼ばれます。サイリスタは、アノード(Anode)とカソード(Cathode)とゲート(Gate)の3端子で構成され、通常アノードからカソードへ電流は流れませんが、ゲートに信号を入力するとアノードからカソードに向かって電流が流れます。一度、流れ始めた電流は、電源を切らない限り流れ続けます。この時のオン抵抗は非常に小さいので、大電流が流れます。これと同じ現象がマイコンの中の寄生サイリスタで発生することを“ラッチアップ”と呼んでいます。

 マイコンでラッチアップが発生すると内部に大電流が流れ、正常に動作しないどころか、最悪の場合はマイコン内部の配線の溶断、素子の破壊などを引き起こします。正常な使い方をしていれば、ラッチアップは発生しませんが、電源の立ち上げ手順を間違えたり、急峻な高電圧ノイズが端子に入った場合に発生します。図1は、実際にラッチアップの電流で溶解したマイコン表面のメタル配線の写真です。

ラッチアップの電流で溶解したマイコン表面のメタル配線 (クリックで拡大)
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