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パルス幅を電圧に変換する回路Design Ideas 信号源とパルス処理

今回は、パルス幅を電圧に変換する回路を紹介する。1つのパルス信号の入力が終わるまでの期間を直流電圧に変換する回路である。

» 2014年07月31日 10時50分 公開
[James Mahoney,Linear Technology]

パルス幅に対して動作

 図1は、1つのパルス信号の入力が終わるまでの期間を直流電圧に変換する回路である。すなわちパルス幅を電圧に変換する回路だ。この機能は、RCフィルターを使ってパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)信号を平均直流電圧に変換する方法でも実現できる。しかし、この方法は応答が遅いという問題がある。デューティー比が低くなると、変換速度はさらに遅くなってしまう。

図1 パルス幅を直流電圧に変換する回路
積分器とサンプル・ホールド回路を使って構成した。なお図のスイッチのオン/オフは、サンプル・モードにおける状態を示す

 図1の回路には、入力バイアス電流が少ないオペアンプ「LT1880」を2つ(IC2、IC3)とアナログ・スイッチを4回路収めた「LTC202(IC1A、IC1B、IC1C、IC1D)」を使った。これらのICで、単一パルスを直流電圧に変換する積分器とサンプル・ホールド回路*1)を構成した。

*1)入力信号をサンプルしたのち、その値を一定にホールドする回路。今回は、サンプル・ホールド回路を使って、パルス幅に対応した直流電圧を生成した。

 今回示した例は、パルス幅が1ms〜2msで周期が25msとデューティー比が低い正のパルス信号を直流電圧に変換するというものである。回路の動作を説明すると、まず入力パルス信号は、積分器の起動と停止、リセットの制御を行う。さらにサンプル・ホールド回路への入力制御も行う。

 積分器がリセットされると、正の入力パルス信号は抵抗R1とコンデンサーC1、IC2から成る積分器にレベル・トリガーをかける。このときIC1BとコンデンサーC2、IC3から成るサンプル・ホールド回路は、入力パルス信号がハイレベルの間だけサンプル・モードとなり、積分器の出力をサンプリングする。

 入力パルス信号がローレベルに変化すると、サンプル・ホールド回路への入力を切る。すなわちサンプル・ホールド回路は、ホールド・モードに移行する。積分器は、次の正のパルス信号が入力されるまで、リセット状態を続ける。この間、アナログ・スイッチIC1Aは開いて(オープン)、積分器への入力を切り離す。

 スイッチIC1Cは閉じて(クローズ)、積分器を構成するコンデンサーC1をリセットする。スイッチIC1Bは開いて、サンプル・ホールド回路への入力を切り離し、ホールド・モードに移行させる。スイッチIC1Dは、スイッチIC1Cのオン/オフ状態を逆転した動作になる。

 LT1880の最大入力バイアス電流は、周囲温度が25℃のときに900pA、−40〜85℃の範囲で1500pAと少ない。さらに最大入力オフセット電圧の温度ドリフトも1.2μV/℃と小さい。積分器を構成するコンデンサーC1と抵抗R1は、オペアンプの変換利得を決める。

 積分器の温度ドリフトとサンプル・ホールド回路の電圧変化を最小にするために、コンデンサーC1とC2としては、ポリプロピレンやポリスチレン、テフロンを使ったフィルムコンデンサーを使う必要がある。R3とR4で決まる電圧分割比は、正のパルス信号の中間値、今回の例では1.5msにおける直流電圧を設定することになる。図2に、入力パルス信号の幅と出力電圧の関係を示した。

図2 パルス幅と出力電圧の関係
図1の回路を使えば、高い直線性を維持しながらパルス幅を直流電圧に変換できる

 図1の回路は、異なるパルス幅の信号に対しても、回路を簡単に変更するだけで対応できる。さらに変換利得や出力レベルを変更することも容易だ。なおこの回路は、パルス幅に対して動作するものであり、デューティー比に対して動作するものではない。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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