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第23回 MSP430 LaunchPadでキッチンタイマを作ろう 〜完成編〜宮崎 仁のマイコン基礎の基礎

» 2014年08月28日 00時00分 公開
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 前回に引き続いて、最大99分50秒の時間を設定できるキッチンタイマを設計・製作します。マイコンボードは、テキサス・インスツルメンツ(TI)のMSP430™ LaunchPadバリュー・ライン開発キットを使用します。

システムのプログラムを実装する

図1 宣言と初期化、メイン

 前回ハードウェア回路を完成しましたので、今回はシステムに必要なプログラムを作成して実装します。長くなってきたので、いくつかに分割して説明します。

 図1に、変数や関数の宣言、初期化ルーチン、メインルーチンを示します。

 今回のシステムでは、4msごとにタイマ割り込みが発生して、その割り込みサービスルーチンの中ですべての処理を行います。メインルーチンは、システムを初期化した後はすぐに省電力モードに入るので、割り込み発生時以外はほとんど電力を消費せず、バッテリ動作でも長時間動作させることができます。

 図2に、割り込みサービスルーチンを示します。

 割り込みサービスルーチンの中では、まず毎回共通の処理としてLEDのダイナミック点灯と、スイッチ検出の処理を行います。さらに、そのときの動作モードに応じて必要な処理を行います。

図2 タイマ割り込みサービス

 動作モードは、アイドルモード(mode=0)、カウントダウンモード(mode=1)、お知らせモード(mode=2)、D3設定モード(mode=3)、D2設定モード(mode=4)、D1設定モード(mode=5)の6種類です。モード間の状態遷移図を図3に示します。

図3 モード間の状態遷移図

 各回の割り込みの前半部分(関数swsense())で、スイッチが押されたかどうか、押されたのはどのスイッチかを検出して、フラグを立てます。スイッチは桁選択スイッチ、数値選択スイッチ、スタート/ストップスイッチの3個で、それぞれに対応してsdig(桁スイッチ検出フラグ)、snum(数値スイッチ検出フラグ)、ssta(開始スイッチ検出フラグ)の3個のフラグが用意してあります。

 フラグが立ったままで割り込みサービスルーチンを抜けると、次の割り込みでそのスイッチがまた押されたと認識してしまいますから、最後にフラグを解除して割り込みサービスルーチンを抜けます。

個々の関数の処理

 ここでは、タイマ割り込みサービスルーチンの中の処理をいくつかの関数に分割しています。これは、プログラムの可読性を高めるためだけであって、関数化しなくてもかまいません。

 図2のタイマ割り込みサービスルーチンでは、まず共通の処理としてダイナミック点灯(dynamic())とスイッチ検出(swsense())の2つの関数を呼び出しています。その後、switch文を用いてモードごとの処理を行っています。

 ダイナミック点灯の部分は前々回に説明しているので、スイッチ検出の部分を図4に示します。

図4 スイッチ検出の部分

 3個のスイッチを一括してチャタリング除去(sb1とsb2が一致したらチャタリングなしと判定)を行います。さらに、前回のチャタリング除去後の値(snc)がBIT4(桁スイッチ)、BIT5(数値スイッチ)、BIT6(開始スイッチ)ともすべて1(押されていない)のとき、今回の値(sb1)がそれと異なっていれば、どれかのスイッチが押されたと判定して対応するフラグを立てます。最後に、今回のチャタリング除去後の値をsncに保存します。

図5 モードごとの処理

 次に、モードごとの処理の部分を図5に示します。

 モード0はアイドルモードで、スイッチによるモード移行処理だけを行います。開始スイッチが押されたらモード1に、桁スイッチが押されたらモード3に移行します。

 モード1はカウントダウンモードで、開始スイッチが押されたらモード0に移行しますが、それ以外の場合は1秒の判定とカウントダウン動作を行います。カウントダウンによって残り時間が0秒になったらモード2に移行します。

 モード2はお知らせモードで、カウントダウンによって残り時間が0秒になったときだけこのモードになります。LEDを点滅したら、モード0に戻ります。

 モード3〜5は数値設定モードで、10分の桁(D3)⇒1分の桁(D2)⇒10秒の桁(D1)の順に設定したらモード0に戻ります。各桁の設定モードで、数値スイッチが押されたらその桁の数値を1増やし、桁スイッチが押されたら次の桁に移行します。

 これで、キッチンタイマの設計が完成しました。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日

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