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RX63NとAD7173で「高精度センシング」と「液晶表示」を実現! わずか10日で作るデータ・アクイジション・システム「DevCon Japan2014」で加賀デバイスが公開!

2014年9月、ルネサス エレクトロニクスのイベント「DevCon Japan2014」にて、加賀デバイスブースにてソリューションエッジのインターポーザボード「SE SP-01」を使ったデータ・アクイジション・システムのデモが披露されました。同デモは、ルネサス エレクトロニクス製32bitマイコンRX63Nとアナログ・デバイセズ製24bitΣΔ型A/DコンバータAD7173-8の評価ボード同士を「SE SP-01」を使って接続。出力をRX63Nが直接ドライブする5インチディスプレイに表示するもの。今回は、このデモの詳細を加賀デバイスの開発担当者自らがご紹介します。

» 2014年10月06日 10時00分 公開
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 ルネサス エレクトロニクス製32bitマイコンRX63Nとアナログ・デバイセズ製24bitΣΔ型A/DコンバータAD7173-8とを、ソリューションエッジのインターポーザボード(SE SP-01)を使って接続し、高精度データ・アクイジション・システムを短期間に製作した例をご紹介します。

 組み込システムを意識して、マイコン制御によるTFT液晶への直接表示(ダイレクトドライブ)の機能も実装しました。

必要機材

(1)ルネサスエレクトロニクス製 RX63N評価ボード

  Renesas Starter Kit+ for RX63N (R0K50563NS100BE)

(2)アナログ・デバイセズ製 A/Dコンバータ評価ボード

  AD7173-8SDZ Evaluation Board (EVAL-AD7173-8SDZ)

(3)三菱電機製TFT液晶モジュール

  5.7インチ QVGA液晶モジュール(AA057QD01)

(4)ソリューションエッジのインターポーザボード(SE SP-01)

  R0K50563NS100BEとEVAL-AD7173-8SDZとを接続

(5) センサー

  0〜5V出力可能なもの。今回は市販の圧力センサーを使用

システムの概要

システム全体の構成を図1に示します。

図1 システム全体のブロック図 (クリックで拡大)

(1)センサーとAD7173-8間の接続は、チャネル1のみを使用したシングルエンド入力です。

(2)RX63NとAD7173-8間の通信インタフェースは、4線式SPIです。

双方向通信により、レジスタ設定変更やA/D変換後の値の取得などが可能です。

(3)RX63NとTFT液晶モジュール間は、"LCDダイレクトドライブ"により実現しています。

 CMOSインタフェース液晶モジュールの使用により、RX63Nの端子と直接接続しています。

 RX63N内蔵のEXDMAコントローラ、外部バスコントローラ、タイマーをソフトウェア制御することで液晶モジュールの直接駆動が可能です。

各評価ボードをインターポーザボードを使って接続

(1) RX63N評価ボードとSE SP-01を接続

図2 (クリックで拡大)

 図2の赤丸部分を下記の通り接続します。

  SE SP-01 RX63N評価ボード
接続1 CN1 JA1
接続2 CN2 JA2

(2) SE SP-01とAD7173-8評価ボードを接続

図3 (クリックで拡大)

 図3の赤丸部分を下記の通り接続します。

  AD7173-8評価ボード SE SP-01
接続1 J1 CN11

(3) RX63N評価ボードと液晶モジュールを接続

 RX63N評価ボードのTFT端子から液晶制御信号が出力されます。

 接続コネクタ変換などのためにRX63N評価ボードと液晶モジュールの間に変換ボードを製作しました。参考までに製作したボードの写真(図4)と回路図(図5)を記載します。

図4 (クリックで拡大)
図5 回路図 (クリックで拡大)

(4) AD7173-8評価ボードとセンサーを接続

図6 (クリックで拡大)

 AD7173-8の入力チャネルへセンサーを接続します。

 A/Dコンバータの入力端子をそれぞれ、

  • AIN0をGND固定
  • AIN1をセンサー出力(0〜5V)

に接続します。

 AIN0,AIN1はAD7173-8評価ボード上の“J11,J12”コネクタに出ています。

システムの動作

図7 デモセット全体 (クリックで拡大)

(1) 動作の様子

 センサーからA/Dコンバータに入力される電圧値(0〜5V)に合わせて、RX63Nにより液晶への表示をリアルタイム変化させています。

 電圧レベルをイメージしたバロメータ表示、電圧値のデジタル表示,蛇口から流れる水滴アニメーションからなります。

図8 液晶画面 (クリックで拡大)

(2) アナログ・デバイセズ A/Dコンバータ (AD7173-8)について

 AD7173-8は、1.25sps時にノイズフリービット24ビットを実現しており、μV単位の高精度データ取得が可能です。

 アナログ・デバイセズ製AD7173-8の特徴は次の通り。

  • 24bitΣ?型のA/Dコンバータです。
  • 有効分解能1.25sps/24bit、31.25ksps/17.5bit
  • 8ch差動入力/16chシングルエンド入力
  • アナログ入力バッファ、REFバッファ、2.5VREF(3.5ppm/℃typ) 内蔵
  • 低消費電力

 今回は、8chのうち1chを0〜5V範囲のシングルエンド入力として使用しています。

(3) ルネサス エレクトロニクス マイコンのソフトウェアについて

 液晶制御/描画処理について:ダイレクトドライブについては、ルネサス製アプリケーションノートをご確認ください。

 RX600 シリーズ ダイレクトドライブ LCD デモンストレーション(R01AN0331JU0103)

グラフィックAPIにより、Bitmapデータの任意の画像や文字の表示/切り替えやなどを容易に実装できました。サンプルコードから解像度や各信号タイミングをカスタマイズすることでさまざまなLCDを制御できます。なおサンプルコードには「FreeRTOS」が組み込まれており、今回はそのOSを使用しています。

 アナログ・デバイセズ A/Dコンバータの制御について:AD7173-8は信号入力チャネルを1chのみ有効とし、動作モードを“連続変換モード”に設定しています。A/D変換完了後、RX63NはSPI通信でデータ取得します。

まとめ

 ソリューションエッジのインターポーザーボード(SE SP-01)を使用して、ルネサス エレクトロニクス製マイコンとアナログ・デバイセズ製A/Dコンバータとのシームレスな接続により、両社の評価ボード同士を用いたシステムの立上げ期間を大幅に短縮することができました。

 RX63Nに搭載されるA/Dコンバータでは実現できない、高精度なシステムへステップアップする場合にはとても有効です。また弊社では今回ダイレクト表示やFreeRTOSの実装は初めての開発のため、表示出力部についてはハード/ソフト共に多少手間取りましたが、アプリケーションノートも充実しており、解決にそれ程多くの時間を費やす必要はありませんでした。

 今回の開発においては総合的に評価時間を短縮できる有効な手段と感じました。

  • 工数
    • ボード組立 …… 2日
    • SPI制御ソフト …… 2日
    • LCDダイレクトドライブ カスタマイズ …… 1日
    • デモ用アプリ実装 …… 3日
    • 高精度デジタルマルチメータによるAD変換精度確認 …… 2日

お問合わせ先

加賀デバイス株式会社

URL:http://www.kgdev.co.jp

E-mail:supportdevelop@kgdev.co.jp


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提供:ルネサス エレクトロニクス株式会社 / アナログ・デバイセズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2015年5月31日


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