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» 2014年11月05日 09時50分 公開

効率向上を実現する先進モーター制御アルゴリズムあらゆる条件をマッピング(2/2 ページ)

[Matthew Tyler(ON Semiconductor)、Mats Sandvik(Stegia),EDN Japan]
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SLAマッピング

 逆起電力を使用すれば、電気機械システムの動きに関する詳細情報を簡単に抽出して、完全な診断データを提供することができます。モーター・ドライブ電流のパルスとパルスの間で、モーター巻線が動いてモーターの磁界を通過すると、原理上、電圧が生成されます。この情報は一般的にモーターの速度/負荷角度(SLA:speed and/or load angle)と呼ばれます。逆起電力の大きさをモニターして、ステッピング・モーター角速度の有用な近似値を提供することができます。

 図1に機械システムに実装された従来式ステッピング・モーターを駆動するマイクロステッピング・ステッピング・モーター・コントローラ(AMIS-30522)のSLAピンのマッピングを示します。

 この情報はNXT入力(モーター・スティミュラスの速度を決定するシンプルなクロック入力)の周波数掃引時に収集されたものです。スティミュラスの周波数は左から右に移動するときに高くなり、異なる動作領域を明確に判断できます。

図1:SLAピンをモニタリングしながらNXTピンの周波数掃引

 SLAピンを使用することにより、ステッピング・モーターの制御システムは継続的にこの電圧をサンプリングして、異常な動きを検知したら適切な処置をとることができます。逆起電力はローターの回転速度に比例するため、容易に出力シャフト上の外部負荷を検知してモーターに供給される電流を安定化させることができます。SLAピンからのデータが大いに役立つもう1つ場面は、モーターが共振領域に入る直前の部分です。この挙動を素早く見つけるアルゴリズムを考案することにより、ステッピング・モーターの制御システムはすぐに加速してこの領域を通過し、新たな「安全な」速度に切り替えることができます。

 図1の左側にある赤枠で囲った部分はシステムにおける共振を強調しています。これはモーターの物理的実装、ステップ間のモーターの基本共振周波数、または他の二次因子に原因がある可能性があります。これらは通常は回避すべき転流速度の領域であり、逆起電力技術によって数分で簡単にマッピングできます。これは電気機械システムへのストレスを軽減するのに役立ちます。システム・ストレスによってノイズ増加、性能低下、潜在的なシステム信頼性低下を招くおそれがあるため、これは重要です。このデータ収集方法の最も重要な点は、システムを物理的に変更してマッピング・プロセスを完了させる必要がないことです。唯一のセンサーはモーター自体なので、機械的にそれ以上複雑になることはありません。

 図1の右側の赤枠で囲った部分は、電流ドライブがシステムのRLC時定数を超えて、モーター巻線に残留電流が流れる領域を示します。これが実際上、この電気機械システムの「速度リミット」です。

 これら2つのエリアの間が当該モーターの推奨動作領域です。同じマッピングを使用して、モーターが回転しないため逆起電力が生成されないストール状態を識別できることにも留意してください。この状態はモーター・スティミュラスのさなかに最小しきい値を設定することによって、システム・コントローラ内で容易に管理できます。

マッピング・データを設計に使用

 一度マッピングが完了し、希望の速度プロフィールが分かると、最適なSLA値を選択できます。これは与えられたシステムに対する最も効率的な動作点を表します。電流ドライブ、加速、速度などのモーター制御変数は、機械的共振や過剰ドライブ電流など、効率を損なう問題を回避するために、ダイナミックに調整することができます。センサーレス/逆起電力方式の利点は、センサーからのフィードバックが単純に2進数ではなく、システムをそれ以上複雑にすることなく、モーターから詳細な診断情報を取得するのに使用できることです。これにより、ステップ損失が生じる前にSLAのわずかな変化をリアルタイム補償に使用できます。

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