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パワー駆動回路にトッピング! シリアルオシレータの組み合わせWired, Weird(3/3 ページ)

» 2014年12月10日 10時00分 公開
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トランスの騒音を減らす応用回路例

 もう1つの応用例はパルストランスにパルス電流を流して高電圧を発生させる回路で、トランスから発生する騒音を少なくすることができる応用回路例だ。パルストランスではトランスへパルス電流を流すときにトランスのコイルが振動し、トランスから大きな騒音が発生する。パルス電源の電力を増やす時は周波数を高くして励起させる電力を増加させる必要がある。

 例えば100Hz程度の低周波でトランスを制御するとき周波数は通常のハムと同じレベルであまり問題にはならず、騒音対策も外部にカバーを付けることで対応できる。しかし500HZ以上の周波数では外部へ大きな騒音が漏れるが、これを防ぐのはかなり難しくなる。

 このような時に、シリアルオシレータの組み合わせ使用で騒音を減らすことができる。それはトランスの駆動を500Hzの均一な周波数で駆動するのではなく、100Hzの低周波と5KHzの高周波の発振を組み合わせる方法だ。100Hzの周波数では周期は10m秒だが、オフ時間を9m秒でオン時間を1m秒にする。5KHzは周期が0.2m秒で1m秒の1/5の時間だ。つまり、100Hzと5KHzの周波数と組み合せることでオン時間の1m秒に5回オンとオフを繰り返して500Hzにする方法だ。パルストランスを駆動する周波数は100Hz×5倍の500Hzになり、発生させる電力を増やすことができた。しかし騒音は100Hzの音のみが外部へ聞こえ、5KHzの音は聞こえない。このようにシリアルオシレータの組み合わせでパルス電源の騒音を減らすこともできた。ディスクリートの部品で試作した発振回路部の写真を図3に示す。

図3 ディスクリートの部品で試作した発振回路部 (クリックで拡大)

 図3にはパワー回路は表示していないがパワー回路との絶縁は図3右上のフォトカプラで行った。

パワー駆動回路のトッピング

 このように2つのシリアルオシレータを組み合わせて、いろいろなパターンの発振波形を作ることができる。また表面実装部品を使用して組み合わせの発振回路を小さく作ることも可能であり、パワー駆動回路のトッピング的なイメージでシリアルオシレータを使うことでいろいろな応用が可能になる。読者にもいろいろな応用例を考えてほしい。

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