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冷蔵庫の「ドアの開けっ放し」を知らせる警報回路Design Ideas アナログ機能回路

不用意なドアの開放を検知して警報を鳴らす、マイクロコントローラを使用した回路を紹介する。

» 2015年01月26日 12時00分 公開
[Tom Lyons Fisher(ジュニアタ大学),EDN Japan]

 実験室に設置された冷蔵庫や冷凍庫には、貴重な材料などが収納されている。ところが、それらの機器のドアを閉め忘れたために、収容物が使い物にならなくなってし

まうことがよくある。収納物が駄目になってしまう原因としては、停電よりも、ドアの閉め方が悪かったことのほうが多いのだ。

 本稿では、そのような事故をなくすための対策として、不用意なドアの開放を検知して警報を鳴らす回路を紹介する。10年ほど前なら、そうした回路には555型のタイマーICを使用していただろうが、今日では、マイクロコントローラを使用することで、より小型で低価格な回路を実現できる。

図1 ドアの開けっ放しを知らせる警報回路 (クリックで拡大)

 図1に示した回路は、ドアの開閉状態を磁気近接スイッチ(磁力を検出して開閉するスイッチ)によって検知する。この回路では、磁気近接スイッチとして、Radio Shack社から侵入警報システム用として販売されているものを用いている。

 この回路は、ある一定時間以内ならドアが開放されたままになっていても警報が鳴らないようになっている。その許容時間は、例えば20秒間といった具合にソフトウェアで設定可能である。その時間範囲を越えてドアの開放が継続すると、ピエゾ型ブザーが作動する。このブザーは、回路電源用の電池の消耗が少なくなるよう、5秒周期で1秒間ずつ作動するようになっている。

 図において、IC1は低飽和型レギュレータ「L4931CZ50」(STMicroelectronics社製)、IC2はマイクロコントローラ「PIC10F200」(Microchip Technology社製)である。IC1は、IC2に5Vの安定化電源を供給する。ドアが閉じられた状態ではIC2がスリープ状態となり、消費電力はIC1が消費するわずかな静止電力のみとなる。そのため、9Vのアルカリ電池で約1カ月間は動作を持続できると見積もれる。

 ブザーが作動するときは約2mAの電流が必要となるが、この電流はIC2の出力端子から直接取り出される。この電流量でも、ピエゾ型ブザーを筐体に組み込まずに使用すれば十分に大きな音が得られる。周囲の雑音が大きい場合には、半導体リレーやMOSFETを利用して電池(9V)で直接ブザーを駆動すればよい。

 磁気近接スイッチ(スイッチ部と駆動用磁石)を冷蔵庫などに取り付けるには、両面接着テープを使用すればよい。取り付け時には、駆動用磁石の位置と向きを調整し、ドアのすき間が約2mm開いたときに作動するようにする。


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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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