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電気2重層キャパシタで電池の出力を高めるDesign Ideas パワー関連と電源(1/2 ページ)

電池で駆動する電子機器は、消費電流の平均値はそれほど大きくない。しかし、瞬間的にでも大きな電流を供給するためには、エネルギーの大きな電池を用意する必要がある。そこで、エネルギー容量の大きな電池を使わなくて済む、電気2重層キャパシタを電池に組み合わせた電源回路を紹介する。

» 2015年06月24日 11時30分 公開

 電池で駆動する電子機器は、常に一定の電流を消費しているわけではない。大電流を必要とするのはごく短時間で、残りのほとんどの時間はスリープ・モードやパワーダウン・モードといった低消費電力状態であることが多い。こうした機器では、消費電流の平均値はそれほど大きくないわけだ。

 ところが、瞬間的にでも大きな電流を供給するためには、通常、エネルギー容量の大きな電池を用意する必要がある。例えば、10時間ごとに1.5秒間動作し、その動作時には3.3Vで500mAの電流を必要とする電子機器を考えてみよう。消費電流の平均値はわずか21μAである。ところが動作時の消費電流が大きいため、コイン電池では駆動できない。

電気2重層キャパシタを電池に組み合わせる

 電気2重層キャパシタを電池に組み合わせれば、エネルギー容量の大きな電池を使わなくて済む(図1)。負荷の消費電流が大きくなると、この電気2重層キャパシタからエネルギーを供給する。電気2重層キャパシタの内部インピーダンスは低いので、瞬間的には数Aを超えるほどの出力電流を確保できる。

図1:電池と電気2重層キャパシタを組み合わせた電源回路 (クリックで拡大)
エネルギー容量の小さい電池に電気2重層キャパシタを組み合わせれば、瞬間的な大電流出力に対応できる。この回路例では、比較器ICとpチャンネルMOS FETを使ったスイッチで電気2 重層キャパシタの充電と放電を制御する

 図1では、出力電圧が3Vのコイン型リチウム電池(BT1)と、2.5Vの電気2重層キャパシタ(C2)を組み合わせた。比較器IC(IC1)とpチャンネルMOS FETは電圧制御型のスイッチとして機能する。電気2重層キャパシタの電圧が2.2Vに達すると、このスイッチが動作してリチウム電池を電気2重層キャパシタから切り離す仕組みである。

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