メディア
連載
» 2015年07月06日 11時30分 公開

Wired, Weird:3万円のオシロスコープを修理する (3/3)

[山平豊(ケイティーエス),EDN Japan]
前のページへ 1|2|3       

起動電流の抵抗

 起動電流の抵抗は何を使っているか把握するため、VDD端子から基板上で接続先を確認した。すると、『ドキッ!』とするものが見つかった。起動抵抗は1.6MΩだったが、接続先がなんとIGBTのコレクタらしかった。トランスを通して起動電流は供給されるので、この接続でも問題なく動作開始できると思う。しかし少し違和感を覚えた。恐らく、パターン設計の都合上、仕方なく、整流されたコンデンサの+側ではなく、IGBTのコレクタへ接続したと思われる。

 またこのICの2つのNC端子はランドなしの穴のみだった。筆者も40年ほど前の仕事だが量産品の設計でランドなし穴を使った記憶がある。この方法ではランド間にパターンを通すことができたのでジャンパー線を減らし、コストダウンできた。

 この電源基板はガラエポを使用していたが、もちろん片面基板でコストダウンをかなり意識した基板設計だ。回路部品の定数を調べたら少し疑問があったが、まあ良しとしよう。

ICが起動しない原因

 オシロスコープの画面が表示しないのは、恐らくこのR7731Aが破損し電源が入らなくなったためと思われた。このICが起動しない原因を確認するため、VDD端子とGND端子間の抵抗を測定したら100Ω程度だった。これでは1.6MΩの抵抗でDC140Vから起動電流を流しても電源電圧は上がらないだろう。パターンが短絡している可能性もあるので、R7731Aを基板から外して単品で抵抗を計ってみた。測定した写真を図6に示す。

図6 「R7731A」を基板から外して抵抗値を測定したところ

 電源VDD(2ピン)とGND(8ピン)をマルチメータで抵抗を測ったら、やはり106.9Ωの抵抗値だった。これでこのICの破損は間違いないだろう。参考にICを外した周辺の写真を図7に示す。この基板で使用されているR7731Aの周辺の定数を読み取ることができる。

図7 ICを外した周辺の写真(クリックで拡大)

 さて破損した電源制御ICのR7731Aを手配しようとWebで調べた。しかし国内では販売されておらず、調達が難しいことが分かった。中国系のオークションサイトで調べてみると、10個2000円程度(送料込み)で購入ができそうだが、納期が1カ月ほどかかってしまう。一応購入手配を行ったが、時間がかかりすぎて、その間、修理の仕事が止まってしまう。このICを使わずに、修理する方法を考えるしかない――。

 そこでこのオシロスコープは電池でも動かせることを思い出した。別ルートから電源を供給すればオシロスコープは復活できるだろう。試しに電池のコネクタに8.4Vの電源を接続したら2Aを越える電流が流れてしまった。これはまずい、まだまだ壊れているICがあるようだ。この続きは次回に報告する。


>>続編:3万円オシロの修理、高圧パルス電源は甘くない【暫定修理編】はこちら


「Wired, Weird」連載一覧

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.