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USB 3.1/Type-Cの受信耐性評価USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?(4)(1/5 ページ)

今回は、「USB 3.1/Type-Cの受信耐性評価」に関して、シンボルエラー測定(SER)が可能なビットエラー測定器(BERT)を用いた受信性能テストの方法について述べる。

» 2016年02月15日 09時30分 公開
「USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?」バックナンバー
第1回 USB 3.1/Type-Cの概要と測定の肝
第2回 コネクタ/ケーブルの評価では、新しい概念も
第3回 USB 3.1/Type-Cのトランスミッタテスト

 USB 3.1/Type-Cに関してはこれまで、その概要とコネクタ/ケーブルや送信系(Tx)の性能テスト/評価を行う際の方法や注意点などについて述べてきた。本稿では受信系のテスト(Rxテスト)方法について解説する。

 USB3.1 Gen2の伝送路モデルを復習しよう。今回はRxテストについて解説するため、信号を受信する機器側をDUT(Device Under Test、テスト対象デバイス)とする。DUTの視点から見ると、Tx機器内のロス8.5dBと、ケーブルロスの6dBを合計した14.5dBの伝送ロスを通過した信号波形がDUTに入力されることになる。DUT(Rx機器)内でも8.5dBのロスが許容されているため、トータルでは最大23dBのロスを考慮してシステム設計を行わなければならない。最終的に受信機内で信号をイコライズして、アイパターンが最低70mV開けば通信が成立する、というのがUSB3.1 Gen2規格の想定である。

USB 3.1 Rxテストのイメージ図 USB 3.1 Rxテストのイメージ図(クリックで拡大) 出典:キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)

 Rxテストは、伝送ロスやジッタの影響で劣化した信号を、DUTが正しく受信できるかどうかを試験するものである。テストを行うには、Rx端においてGen2用マスクをぎりぎりでパスするようにテスト用信号波形を調整する。その後、DUTをループバックさせてジッタ耐性の試験を行うことになる。

 ここで、技術者が理解しておくべきことは、Rxテストが「リスニング試験」であるということだ。「送信した内容が正しく受信されているかどうか」がRxテストの合否を判定するポイントである。よくRx端での信号品質をオシロスコープで評価することをRxテストであると誤解しているケースがあるが、これはTx側の評価の一種であってRxテストとはいえない。「DUTが正しく受信できるかどうか」を評価するには、実際にDUTに信号を入力し、DUTが信号をどのように解釈したか確認する必要がある。特に5Gビット/秒(Gbps)以上の高速シリアル通信においては、伝送路による信号の劣化が無視できず、また送信側だけでは信号品質を補償しきれない場合がある。安定した通信を実現するためには受信性能の評価は非常に重要である。

Rxテストには信号源が必要 Rxテストには信号源が必要。信号源からDUTにストレスを与えて受信性能を評価する(クリックで拡大)出典:キーサイト

 Rxテストでは、まず規格で定められているワーストケースの信号波形を作成し、これをDUTのテスト用波形として利用する。また、DUTをRxテストモード(ループバックモード)に設定し、入力された信号をそのままTx側に返信させる。信号源から送った信号パターンと、DUTから返信される信号パターンを比較することで、DUTが信号を正しく受信できているかどうかを判断することができる。送信したパターンと全く同じパターンがループバックされれば、DUTは正しく受信できていると判断できる。もし送信したパターンと異なるパターンがループバックされた場合、DUTが正しく受信できていないと判断できる。

J-BERT M8020Aを用いた受信性能テストのイメージ J-BERT M8020Aを用いた受信性能テストのイメージ(クリックで拡大) 出典:キーサイト
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