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車載向けアプリケーションに今求められるのは大容量で高速起動が可能なフラッシュメモリADAS、デジタルクラスター、インフォテイメントシステムなど

自動車でのNOR型フラッシュ メモリの用途が拡大している。特にAdvanced Driving Assistant System(ADAS:先進運転支援システム)や、デジタル インスツルメント クラスターでのNOR型フラッシュ メモリの需要が急激に拡大している。それら車載用途の特性とNOR型フラッシュ メモリの適用範囲を紹介していこう。

» 2016年02月18日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 近年、車載アプリケーションでのNOR型フラッシュ メモリの需要が高まっている。

 従来NOR型フラッシュ メモリを必要とする車載アプリケーションは、インフォテインメントやエンジン コントロールと限られた用途であったが、最近は車の電子化が進むと共にさまざまな車載アプリケーションに幅広く使用されている。特にAdvanced Driving Assistant System(ADAS:先進運転支援システム)およびデジタル インスツルメント クラスターでのNOR型フラッシュ メモリの需要が急激に拡大している。そのアプリケーションの特性とNOR型フラッシュ メモリの適用範囲を紹介しよう。

Advanced Driving Assistant System(ADAS)

図1:ADAS(Advanced Driving Assistant System)のイメージ

 ADAS(図1)は、安全向上を図る車載アプリケーションで近年急速に市場が拡大している。現在は、バックモニター カメラなどのビューイング カメラがメインであるが、今後は自動運転を視野に入れたセンシング カメラ市場の拡大が見込まれる。センシング カメラはビューイング カメラよりもより複雑な処理が求められるため、高性能なSoCが必要となる(図2)。そのプログラム容量の増加に伴い、大容量かつハイパフォーマンスのNOR型フラッシュ メモリの需要が高まっている。

図2:フラッシュ メモリ使用のセンシング カメラ システムのブロック図

デジタル インスツルメント クラスター

図3:インスツルメント クラスター(左:アナログ針だけのメーター、右:フルTFT液晶搭載メーター)

 インスツルメント クラスターはこれまで、メーター針のみで表示する製品が主流であったが、近年、補助型ディスプレイ搭載の並びメーター針を表示するデジタル クラスターの割合が増加している(図3)。また、搭載されるディスプレイ サイズが拡大しており、大きい物では12インチを超えるフルHDディスプレイ搭載のデジタル クラスターも市場に投入されている。このようなディスプレイ サイズの拡大や表示されるコンテンツの増加により、制御用MCUに内蔵されているフラッシュ メモリでは対応しきれず、外付けの大容量NOR型フラッシュ メモリを使用する例が増えているのだ(図4)。

図4:外付けフラッシュ メモリを使用したインスツルメント クラスター システムのブロック図

インフォテインメント

図5:インフォテインメント システム

 前述の2つのアプリケーションに加えて、引き続き需要が高いのがインフォテインメント(図5)である。NOR型フラッシュ メモリには、ブートコードやアプリケーション プログラム、リアルタイムOSが格納されているが、昨今のLinux系OS(アンドロイドなど)の普及により、OSサイズが急激に大きくなっている。そのため、NOR型フラッシュ メモリに格納できず、e.MMCおよびSDカードにOSやアプリケーションを格納するシステムが増えている。しかしながら、e.MMCやSDカードでは高速起動には不向きであるため、ブートコードなど高速起動が必要なものには引き続きNOR型フラッシュ メモリが求められている(図6)。

図6:フラッシュ メモリを使用して高速起動を実現するインフォテインメント システムのブロック図

必要なのは大容量で高速起動対応が可能なフラッシュ メモリ

 ADAS、デジタル インスツルメント クラスター、インフォテインメント、この3つの車載アプリケーションは、そのトレンドとして高機能化や画面サイズの拡大が進んでいる。これにより扱うデータ容量が多くなり、それに対応し得る大容量のハイパフォーマンスNOR型フラッシュ メモリが求められるのだ。これら3つのアプリケーションはまた、エンジン始動時に素早く起動しなければならないという共通の特徴があるが、高機能化によるデータ量の拡大がこの要求の解決を困難にしている。これらを解決する方法の1つとして、RAM(DRAM)上に常時データを保存しておく方法もあるが、大容量データを常時RAM上に展開すると暗電流が増加しバッテリーを消耗させるという別の問題が発生する。

 「フラッシュ メモリに格納されているデータをいかに早く読み出すか?」。これがエンジン始動時に素早く起動できるかの大きなポイントとなる。単純にフラッシュ メモリからのリード速度だけの問題であれば、メモリを複数個使用しデータバス幅を拡大すれば解決はできる。しかし、ピン数の観点からこの方法は得策ではない。次に、データサイズを圧縮して転送するという方法もあるが、画像圧縮による画像の劣化が発生してしまうのだ(図7)。

図7:メモリの種類別画像解像度の違い (クリックで拡大)

 サイプレスのHyperFlashTMメモリは、このような問題を解決するのに最適なソリューションである。HyperFlash メモリは、サイプレスが開発した、最大動作周波数166MHz Double-Data-Rate(DDR)、データバス8本とコントロール信号4本の合計12本のみで制御可能なHyperBUSTMインタフェースをベースにしており、最大333MB/sの圧倒的な高速リード パフォーマンスを実現している(図8)。

図8:サイプレスHyperBusが実現する革新的なスループット

 従来のパラレルNOR製品(Cypress GL512S:パラレル512Mb NOR型フラッシュ メモリ)の約3倍のリード パフォーマンス、QSPI製品(Cypress FL512S:SPI512Mb NOR型フラッシュ メモリ)の5倍のリード パフォーマンスを提供し、エンジン始動時の起動時間の短縮に非常に有益である。また、小ピン、小パッケージの要求も同時に満たす(図9)。

図9:サイプレスHyperFlashメモリを使用したシステム例

 小ピンかつ高速リード パフォーマンスのNOR型フラッシュ メモリへの需要はアプリケーション設計者のみならず、各種アプリケーションをコントロールするMCUやSoCベンダーからも多くある。CypressのHyperBUSインタフェースは、既に多くのMCUおよびSoCベンダーに採用されているが、現在では車載向けMCU、SoC製品への搭載も拡大しており、今後フラッシュ メモリの標準インタフェースの一つになり得ると期待される。

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提供:日本サイプレス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月17日

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