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» 2016年02月24日 11時30分 公開

Q&Aで学ぶマイコン講座(23):消費電力の計算方法 (3/4)

[菅井賢(STマイクロエレクトロニクス),EDN Japan]

静的電流

 図3に静的電流が発生するアナログ回路を示します。A-DコンバーターやD-Aコンバーター内にあるラダー(はしご型)抵抗は常に直流電流が流れます。オペアンプのバイアス電流も直流電流になります。簡単な回路ですがBGR(Band Gap Reference)も直流電流を消費します*)。CMOSをアナログ的に使用する場合(例、増幅回路など)のバイアス電流も直流電流になります。

図3:静的(スタティック)電流 (クリックで拡大)

 これらの直流電流が静的電流になります。システムクロックとは無関係に、電源が接続されている時には常に流れますので、動作周波数を掛ける必要はありません。これらの電流値は各マイコンで異なるので、各製品のデータシートを参考にしてください。

*)関連記事:Band Gap Referenceの原理を出発点から解説(EE Times Japan)

具体的計算例

 それでは具体的な電流値を算出してみましょう。再び図1を見てください。電源電圧3.0V、動作周波数32MHzで、CPUの他にタイマー2とA-Dコンバーターを動作させた総電流の計算例です。ここでデータシートから2つの表を抜粋しました。左側の表を見ると、動作モード(Run mode)での消費電流が記載されています。

図1:マイコンの電流計算例 (クリックで拡大)

 Parameter欄に「…code executed from Flash」と記載されていますので、フラッシュメモリに書かれたプログラムコードを実行する場合です。Condition欄に「HSE = fHCLK up to16 MHz included, fHSE = fHCLK/2 above 16 MHz (PLL ON)」と記載されています。HSEとは外部に発振振動子をつないで発振させる回路です。HCLKはシステムクロックです。PLLは周波数の逓倍回路です。「Range 1, VCORE=1.8」は、内部降圧回路の電圧を1.8VにするためRangeを1に設定しているという意味です。

 32MHzのTyp(ティピカルと読む)電流値は32mAと記載されています。この32mAにはフラッシュメモリ、発振回路、周波数逓倍回路、内部降圧回路を32MHzで動作させた場合の電流値も含みます。もちろんCPUの消費電流値も含まれています。

 しかし、周辺機能(タイマー2とA-Dコンバーター)は含まれていません。そこで、右表を見ますと、各周辺機能の消費電流値が記載されています。ここでタイマー2はTIM2、A-DコンバーターはIDD(ADC)として表記されています。

 まずTIM2ですが、前述したようにRange1の場合ですので、TIM2の消費電流は12μA/MHzです。単位が「μA/MHz」なので動的電流ということです。従って32MHzを掛けると384μAになります。A-Dコンバーターは静的電流なので1450μAと記載されています。これらを加算すると、マイコンの総電流値は1万434μAになります。

(注意)データシートに記載されている値が何の電流値を意味するかは、各マイコンで異なりますので、不明点があれば、マイコンメーカーの技術サポートに詳細を確認してください。

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