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» 2016年03月10日 11時30分 公開

ブラシ付きモーターに置き換わりつつある:ブラシレスDCモーターの利点と課題解決例 (2/4)

[Adriano De Rosa(Micronas),EDN]

ブラシ付きDCモーターからBLDCモーターへの移行に伴う問題点

 ブラシ付きDCモーター(Brush-Type DC Motor、BDC)を含むモーション制御システムを見ると、制御がBLDCモーターに比較して複雑でないことが明瞭だ。単純に言えば、モーターに電圧を印加するだけで動き始める。BLDCモーター制御システムの設計経験がほとんどないエンジニアは、その優位性を理解しても、BLDCモーター技術への転換は困難だと心配することが多い。そのようなシステムにおける複雑な電子回路とプログラミングが障壁になると考えるからだ。また、電子的転流のためのシステムコストの高いことが特に大きな障害要因だ、と考えられることも多い。

 しかしながら、BDCからBLDCへの移行は必ずしも難しくない。例えば、新しい高電圧コントローラー(High-Voltage Controllers、HVC)IC「HVC4223F」(Micronas製)などを利用すれば、電子回路が全くシンプルになるからだ。

 例えば、HVC4223Fを含む13部品しか必要としないソリューションが可能になる。多くの場合、小型モーターは効率改善のために利用できる。また、アクチュエータが一層小型になり、材料コスト(モーター、ケース、ギアなど)もさらに低くなる。さらに、HVC4223Fを利用するBLDC制御システムは、接続端子がVBATとグラウンドだけのBDCモーターと外部的には同様な動作になるようプログラムすることが可能だ。そのため、既存のモーション制御システムを、全体のシステム設計を変えることなくアップグレードできる。また、長期的には、例えば、ネット接続機能や診断機能などの付加によりシステムを改善できる。既存のアプリケーションノートおよびデモソフトウェアにより相当なレベルの機能が実現できるので、ユーザーはスタート時にソフトウェア開発で混乱することがない。

システム統合、フレキシブルな駆動システムのためのシングルチップ技術

 こうした新しいHVC ICは、高度に集積化されたモーター駆動電子回路を含むシステムを実現させ、最新の永久励起DCモーターのもつパフォーマンス潜在能力を全開させる。このICは、集積化マイクロコンピュータシステムであり、PMSM/BLDCモーターやバイポーラステッピングモーターを直接駆動するために必要な全ての周辺モジュールが備わる。周辺モジュールおよびユーザー定義ソフトウェアがプログラミング可能であることから、さまざまな駆動システムの特性や属性への最良の適応化が可能だ。

 PMSM/BLDCモーターの電力/重量比(W/kg)の低いことが駆動ソリューションの集積化密度の増大を可能とし、その結果が電力消費(電力/熱管理)、駆動回路のフレキシビリティおよび駆動システムの選択、さらには診断用オプションに影響を及ぼす。エレクトロニクスの集積化密度が高くなると、対象に特有な電力管理手段により熱的動作条件を適応化させることが必要になる。

 さらに、高度なシステム統合は、部品の数量が減少することから所要のシステムFIT(Failure in Time、単位時間あたりの平均故障発生件数)割合を得る上で良い効果になる。

 その1つがソフトウェアでの熱管理機能の実装だ。

図1 図1 BLDCモーター内の組み込み電子システム

 電流および温度を評価し、その結果を利用することによって所定動作プロファイルに適応化させること、例えば、CPUサイクルを減少させる、モーター電流を制限する、モーターブリッジにおけるフリーホイール電流パターンを適合化させること、などが可能になる。

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