メディア

過電圧監視がない電源の末路Wired, Weird(2/3 ページ)

» 2016年08月04日 11時30分 公開

シャントレギュレーターとフォトカプラが……

 FA5511Pのフィードバック端子(2ピン)のパターンを追いかけたらフォトカプラの出力端子につながっていた。このフォトカプラの入力LEDの接続先を確認したら、二次側の5Vの電圧を監視するシャントレギュレーターのカソード端子につながっていた。しかしなぜフィードバックがかからないのか? シャントレギュレーターとフォトカプラを接続する配線を詳細に確認したら大変なことが見つかった。図4を示す。

図4:出力電圧をフィードバックするフォトカプラのLED側の配線部分

 図4は出力電圧をフィードバックするフォトカプラのLED側の配線を拡大したものだ。この配線は基板の端面のすぐ上にあったが、配線の上が少し白っぽくなっていた。テスターでシャントレギュレーターのカソードとフォトカプラのLEDの接続を確認したら、なんとつながっていなかった。つまり、図4の赤四角の位置でフィードバック信号が切れていた。

 この電源機器は内部が少し水と思われる液体でぬれており、この水分が基板の端面に回り込んだ可能性は高い。図4にも腐食の跡が見えるので、基板の端面から水分が入って電蝕でパターンが断線したものと思われた。ここが断線すると二次側のフィードバックがかからなくなり、生成された二次側の出力電圧がかなり高くなる。この時に制御ICの電圧も高くなり20Vのツェナーダイオーに過電流が流れ、過熱して短絡破損したと思われた。

 不具合の状況と原因が把握できた。電源の生成部は何とか修理できるだろう。しかし、この基板にはメッキ用の出力電圧・電流を制御するために、他にも多数のデジタルとアナログICがある。これらのICにもツェナーダイオードが破損した時に高い電圧がかかってダメージを受けている可能性が高い。『修理できません』と返却するのが最も簡単だが、それでは顧客が困るだろう。

 そこでフィードバック信号がないときに二次側の電圧がどれくらい上がるかを確認した。20Vのツェナーダイオードを交換し、断線したフィードバック配線を接続した。一次側には手持ちのDC24V電源を総動員して4台を直列接続しこれに電流を制限した最大30Vの安定化電源を直列に接続してDC110Vの電圧を作り、基板の端子に接続した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.